研究課題/領域番号 |
23KF0191
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塚本 麿充 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (00416265)
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研究分担者 |
SUN AIQI 東京大学, 東洋文化研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-11-15 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
600千円 (直接経費: 600千円)
2024年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
2023年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
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キーワード | 美術史 / 福建 / 黄檗 / 文人画 |
研究開始時の研究の概要 |
1646年に福建出身の禅僧・百拙如理が来日し、仏教篤信者であり親友でもある地元の文人画家・趙珣の作品を齎した。のち趙珣の作品は1654年に来日した隠元隆琦とその法嗣である木庵性、即非如一、独湛性瑩らによって帯来し続けられ、長崎唐寺や黄檗寺院の間に広がった。これらは江戸後期の頼山陽や田能村竹田たちによって高く評価され、近代の瀧和亭、富岡鉄斎らの南画家によっても模作が続けられた。これら忘れられた福建画壇の重要な人物である趙珣や呉楨、王建章、馬元欽といった人物の作品を包括的に調査し、付属品や伝来情報を把握する。そのことで福建―琉球を中心とするグローバル海域のなかに位置付けることを目的とする。
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研究実績の概要 |
2023年度については、作品調査を2件おこなった。2024年1月15日には、東京国立博物館の協力を得て、橋本コレクション(趙珣馬元欽許友など)の調査を行った。また、2024年3月7日には、九州国立博物館の協力のもと、所蔵関連作品(楊道真、喜多元規など)の調査を行い、写真撮影および研究員との意見交換を行って、大きな知見を得た。 これらの成果をもとに、以下3件の学会発表ををおこなった。①2023年12月~14日の台湾中央研究院明清研究国際学術検討会にて「晩明出版文化人的交遊構造―以虎林容與堂的出版活動為例―」として発表し、あわせて国内外の研究者との意見交換をおこなった。②2023年11月4日のアジア日本研究者協議会第7回東国際大会にてパネル発表「異文化の流通や受容:日本を中心に」の中で「明末清初福建画家趙珣と江戸画壇への影響」をテーマとして発表し、③2024年1月27日美術史学会東支部例会にて「福建甫田画家趙珣の研究―17世紀早期福建絵画に見る洋風表現の再確認―」として発表し、会場内外からも意見交換を行い、大きな知見を得ることができた。 現在、これらの調査および研究発表で得た知見をもとに、論文を1件執筆中であり(「福建画家趙珣の研究―日本黄檗絵画と文人画における位置け」)、現在修正投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査活動、学会発表、論文執筆と、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進については、作品や文献の調査を続けながら研究を進め、具体的には、趙珣の作品を含む17世紀早期の福建絵画に焦点を当て、とくに黄檗関係で日本に渡来した福建絵画の洋風表現を検討し、その背後にある宗教的や社会的な背景を検証する。またそれに関する研究発表、および論文の執筆を予定している。
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