研究課題/領域番号 |
23KF0194
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分14010:プラズマ科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田辺 博士 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (30726013)
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研究分担者 |
AHMADI TARA 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-11-15 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2025年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2024年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2023年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | プラズマ・核融合 / 磁気リコネクション / 磁気面再構成 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、太陽フレア等の爆発的エネルギー開放現象の基盤物理である磁力線のつなぎかわり(磁気リコネクション)に伴う巨大加熱を、球状トカマク方式核融合プラズマの効率的生成法として応用する東京大学TS-6実験および、英国トカマクエナジーST40実験と連携した実験研究を推進する。受け入れ外国人特別研究員であるTara Ahmadi博士が得意とする、数値シミュレーションに基づく運転シナリオ改善の提案を進めるとともに、MHD-FIT法による非侵襲磁気計測応用をTS-6実験だけでなくST40実験にも応用して現状の合体加熱運転の課題を精査し、超高出力リコネクション加熱実験の最適化に取り組む。
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研究実績の概要 |
2023年度は、本研究で受け入れる外国人特別研究員Tara Ahmadi博士のトカマクエナジー連携との共同研究推進準備として、研究計画通り解析環境準備のための初回顔合わせの現地派遣から開始した。英国ロンドン開催の核融合エネルギー国際会議IAEA-FEC2023へのTara Ahmadi氏派遣後、Oxfordshireのトカマクエナジーへ同氏を派遣、現地のChief ScientistであるMikhail Gryaznevich博士や、現地側の磁気面再構成開発担当者であるPeter Buxton博士との顔合わせを実施、東京大学からでもリモート接続でトカマクエナジーのデータにアクセス可能な環境整備を実施した。数値データとして保存されていない、ST40装置の真空容器材料その他の情報については現在継続的に情報交換を進めているところである。 並行して、2023年度末からTS-6実験ではプラズマ電流測定のためのロゴスキーコイル試験が開始された。現在はまだ初期試験段階のため、Tara Ahmadi氏による境界磁場測定からの内部磁場推定試験は、プラズマ電流測定系が軌道に乗るのを待って開始する。現在同氏は、円筒座標系下におけるトロイダルプラズマの合体過程の数値解析・モデリングの準備を進めているところであり、トロイダル磁場が逆転した極性のスフェロマックの異極性合体の数値解析を現在進めており、連続合体駆動シナリオに関する論文をNuclear Fusion誌に投稿したところであり、現在査読結果を待っているところである。本予算の論文投稿料への執行は年度内とはならなかったため、本予算が年度繰越に柔軟な基金であることを活かし、特に年度内には不要な予算使い切りは行わず残額は翌年度にそのまま繰越、査読通過次第open accessのNuclear Fusion誌の論文投稿料として執行予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年11/15~2024/3/31までの短期間の研究初年度については、本研究で受け入れる外国人特別研究員Tara Ahmadi博士の研究環境準備の時期に相当し、粛々とデータ取得環境の整備を整える段階であるため、特段評価を必要とする項目はなく「おおむね順調に進展している」とする。予定通りトカマクエナジーST40実験データに東京大学からアクセス可能な環境整備は完了し、東京大学とトカマクエナジーの国際共同研究契約も締結完了、相互に柔軟に人材派遣が可能な環境整備が完了している。 Tara Ahmadi博士は既に円筒座標系下におけるトロイダルプラズマの合体モデリングコードの準備を完了しており、3次元Hall MHDシミュレーションやVPICコードによる運動論効果を組み込んだ数値解析環境も現段階で既に整っている。学内実験では東京大学TS-6実験に設置されたプラズマ電流測定ロゴスキーコイルの完成を待っているところであり、境界部の磁気計測とプラズマ電流、PFコイル群の電流測定系整備の後に、Tara氏が開発したMHD-FiTによるプラズマ合体中の磁気面再構成試験が開始される予定である。トカマクエナジーST40実験については、2023年11/15~2024/3/31は特に実験はなく、2024年5月以降に実験再開予定のため、それに合わせて現在磁気面再構成に必要な情報収集を継続的に進めているところである。研究初年度は特段大きな努力を必要としない研究環境整備年度であり、現在のところすべて順調に進行中のため「おおむね順調に進展している」と評価する。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に行った研究環境整備を受け、2024年度より外国人特別研究員Tara Ahmadi博士の実務協力推進を開始する。英国ST40実験データ解析については、2019年度までの古いプラズマショットに関するモデリングは一部できるようになってきたが、2020年以降装置の上部および下部にpassive plateが導入され、これを解析に組み込むことが必要なため、同構造物の情報の現地研究者からの取得から開始する。2024年度は、英国でInternational Spherical Tokamak workshop (ISTW)が開催されるため、この機会を利用してTara博士を英国に派遣し、Tokamak Energyの現地研究者との連携を加速させる。 国内実験では、東京大学TS-6実験のプラズマ電流測定用ロゴスキーコイルの較正および試験を完了させ、プラズマ端部の磁場測定と組み合わせ、プラズマ合体中で2つの磁気軸が存在する状態でも対応可能な磁気面再構成解析を推進する。東京大学TS-6実験での試験成果をもとに国際会議ISTWでMHD-FiTの有用性をTokamak Energy主任研究者らに宣伝し、トップダウン型で所内研究者らの協力加速を推進、ST40の最新のプラズマショットを対象とした、磁気リコネクション進行中に応用した磁気面再構成MHD-FiTの導入を進める。 外国人特別研究員Tara Ahmadi博士の助成に割り当てられた本特別研究員奨励費の予算は、同研究に合わせ、東京大学TS-6実験のプラズマ電流やPFコイル群のロゴスキーコイル測定や磁気プローブ測定の保守費用、Tara博士の海外出張および論文出版費用としての執行を予定している。
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