研究課題/領域番号 |
23KJ0004
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小林 里帆 北海道大学, 医学研究院, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 爬虫類 / 睡眠 |
研究開始時の研究の概要 |
多くの動物は、睡眠中に徐波(ノンレム)睡眠とレム睡眠を繰り返し示す。両者は、哺乳類や鳥類に加え、爬虫類においても観察される。これらは、2 つの睡眠ステージが種を超えて保存されるに至った生存戦略的理由の存在を示唆するが、生理的意義や制御の神経メカニズムは未だ明らかになっていない。 本研究では、爬虫類の前障とよばれる脳領域に着目する。爬虫類は、低酸素条件に強いため、長時間のex vivo生理学実験が可能になる。この特徴を生かし、レム睡眠・ノンレム睡眠・覚醒時に前障の活動が切り替わる様子を捉え、ステージが切り替わる局所回路機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
爬虫類トカゲ(Pogona vitticeps)の前背側脳室隆起(以下amDVR)は、単一細胞RNAシークエンスの結果より哺乳類マウス前障(Claustrum)のホモログであることが報告されている。また本領域からは、睡眠時脳波の一種である徐波がin vivo, in vitro系の双方で観察された(Norimoto et al., Nature, 2020)。しかし、amDVR内の徐波発生メカニズムや、制御回路などは明らかになっていない。この問いの検討のため、単一細胞レベルでのRNAシークエンスを適用し、詳細に遺伝子発現を解析したところ、amDVR領域のうち、解剖学的な内側(m-amDVR)と外側(l-amDVR)の亜領域が、遺伝子発現レベルでも分類できることを発見した。 そこで本研究では、爬虫類トカゲ(Pogona vitticeps)の前背側脳室隆起(以下amDVR)と呼ばれる脳領域に着目し、投射パターンや電気生理学的性質を精査することで、徐波・レム睡眠や覚醒における役割を明らかにすることを目的とする。 当該年度は、この亜領域での遺伝子発現や受容体発現の違いを検討し、それぞれの領域を特定できる方法の樹立を目指した。具体的に、単一細胞RNAシークエンスから得られた結果をもとに、抗体を用いて免疫組織学的手法を検討した。さらに、探索実験としてamDVR領域内で電気生理学的特性の違いが存在しないかin vitro系での検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、(1)amDVR亜領域を特定できる方法の樹立(2)patch-clamp記録方法を用いた、電気生理学的特性の検討を行った。 (1)単一細胞RNAシークエンスの結果を細かく解析しなおし、m-amDVR, l-amDVR間で他方と発現が異なる遺伝子・また受容体を抽出した。その結果、m-amDVRではcpne4, PTMA, GABRA1(GABAA受容体サブユニット), CNR1などを抽出することができた。l-amDVRでのみ特異的に発現する遺伝子・受容体に関しては、l-m-以外のamDVR領域との遺伝子発現に差が見られるものが少なく、抽出には至らなかった。これら4候補に対してそれぞれ市販されている抗体を数種類ずつ、amDVRスライスに適用し、免疫学的組織方法を用いて、m-amDVRのみ染色が可能か検討を行った。結果、いずれの抗体でも爬虫類の脳スライスでは染色は不可であることがわかった。一方で、これまで爬虫類脳スライスでは成功例のなかった、GABA染色に初めて成功した。am-DVRにおけるGABAの発現分布には領域差は存在しなかったが、一様に分布していることがわかった。 (2)探索実験の一環として、amDVR領域内で電気生理学的特性の違いが存在しないかin vitro系においてpatch-clamp方法を適用し、検討を行った。具体的に、冷却したaCSF溶液を環流下においてamDVRより無作為に神経活動を記録した。これらの記録後、バイオサイチンにより記録部位を確認し、解剖学的な情報を参照することで領域ごとに評価した。結果として、amDVRの神経細胞特性は領域や細胞種により大きく異なることを明らかにした。記録した17細胞のうち、amDVR内の特定の神経細胞種においては、膜電位が浅くなる細胞がいる一方で、不変や、深くなる細胞もそれぞれ確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、amDVR内の亜領域を特定するために必要な抗体の検討を行っていく予定である。爬虫類では哺乳類で用いられている抗体の多くがワークしないことがある。 先述のとおりGABA抗体がその例である。今回、申請者ははじめてGABA染色を爬虫類脳スライスで成功するためのプロトコールを発見した。同様に、amDVR内でより細かい領域のみで発現する抗体の特定に向けて、検討を重ねたい。 さらに、今回得られた電気生理学的検討や単一細胞RNAシークエンスの結果から、in vitro系での実験では、amDVRスライスを切断し、より細かい領域に分けた状態でのLFP記録や、薬理学的検討、多重patch-clamp記録を引き続き検討していく予定である。
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