研究課題/領域番号 |
23KJ0006
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
櫻井 裕真 北海道大学, 理学研究院, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | アオリイカ / 左右性 / 視覚 / 視力 / 神経網 |
研究開始時の研究の概要 |
イカ類は巨大なレンズ眼と脳を有し、視覚に依存した多様な行動を示すが、様々な視覚情報の神経処理および視覚的行動の神経機構はほとんど未解明なままである。また、イカ類は左右の眼が体の側方に位置するため、左右の視覚情報を別々に受容することによる視覚的な左右差、つまり利き眼が存在するが、イカ類の利き眼の適応的意義および神経機構も未解明なままである。本研究はこれらの点に着目し、アオリイカを対象に「イカ類の眼-視葉-視交連システムにおいて、利き眼側と非利き眼側の神経情報処理の差異、および利き眼側の情報処理の優位性を生成する神経機構が存在する」という仮説を立て、神経科学的にその仮説を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究は、「イカ類の眼-視葉-視交連システムにおいて、および利き眼側の情報処理の優位性を生成する神経機構が存在する」という仮説を立て、神経科学的にその仮説を検証する。そのために、以下の3つの検証を企図した。1) 眼および視葉の神経構造の左右差。2) 眼および視葉の神経応答の左右差。3) 視交連による機能抑制に伴う左右差。令和5年度は、仮説1の検証のために、A) 視力の左右差、B) 脳葉の左右差について以下のように試みた。 A)視力の左右差:利き眼が視力の左右差に起因するかの検証。利き眼と視力との関係を調べるために、卵から孵化飼育したアオリイカに餌生物、捕食者、同種個体を提示し、それらに対する利き眼を特定した。それらの個体を安楽死させ、眼を頭部から切り離し、固定液で固定した。固定後の眼について、眼の直径とレンズ幅を測定した。まず、それらの測定値と利き眼との相関を調べた。その結果、レンズ幅が餌生物に対する利き眼、眼の直径が捕食者に対する利き眼と相関が見られた。次に、それらの眼を切り開き、事前に調べた視細胞密度の多い箇所と少ない箇所について小片を切り取り、切片を作成した。その切片をヨウ化プロピジウム核染色液にて染色後、共焦点顕微鏡で撮影を行い、視細胞の細胞体を可視化した。現在、撮影画像から視細胞を数え、利き眼と視力との相関を調べている。 B)脳葉の左右差:利き眼が脳葉の左右差に起因するかの検証。まず、各脳葉の位置を特定するために、脳アトラスを作成した。アオリイカの脳を取り出し固定後、切片を作成した。その切片を抗シナプシン抗体にて染色を行い、共焦点顕微鏡で撮影を行い、神経網を可視化した。その結果、38個の脳葉を特定できた。次に、Aと同様に利き眼を特定した個体の脳を取り出し固定した。現在、それらの脳について同様に撮影を行い、利き眼と各脳葉サイズとの相関を調べている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、視覚系の神経構造における左右差の検証を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、残りの解析を進めるとともに、アオリイカの眼および脳における電気生理学的手法を確立する予定である。
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