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激変する北極海における二酸化炭素吸収の変動解析手法の開発および炭素循環過程の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ0017
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金
応募区分国内
審査区分 小区分63010:環境動態解析関連
研究機関北海道大学

研究代表者

戸澤 愛美  北海道大学, 水産科学院, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2024年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2023年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
キーワード北極海 / 二酸化炭素 / 二酸化炭素分圧 / 淡水流入
研究開始時の研究の概要

北極海は、大気中の二酸化炭素(CO2)を多く吸収する海域として知られている。しかし、近年の地球温暖化は、北極海の環境を大きく変化させており、それによってCO2吸収量も変化していくと考えられる。将来変化を予測するためには、吸収量を決定づける海洋表面CO2濃度が変化する要因を定量的に評価する必要がある。本研究では、北極海の海洋・氷上観測のデータをもとに、水温変化・淡水流入・生物活動がCO2濃度の季節変化に与える影響を定量的に評価する。特に、淡水流入の影響については、海氷・融雪水・河川水が与える影響をそれぞれ個別に推定することで、より詳細な評価を目指す。

研究実績の概要

北極海は、全海洋の3%の海域面積にも関わらず、海洋全体のCO2 吸収の約10%を担っている重要な吸収源である。しかし、北極などの寒冷地では、地球温暖化による環境変化が特に顕在化している。そのため、今後の北極海のCO2 吸収の変化は全球的な炭素循環を考える上で重要である。 正確な評価のためには、最新の観測データを取得し、炭素循環について定量的に評価することが必要となる。
そこで本研究では、2021年に行われたJAMSTEC海洋地球観測船「みらい」による北極航海の海洋観測データを解析し、北極海太平洋セクターにおける海洋表面二酸化炭素分圧(pCO2)の季節変化および変化要因の評価を行った。本研究では、Tozawa et al. (2022)の手法を北極海に適用できるように改良し、冬から夏にかけての水温変化・生物活動・淡水流入によるpCO2の変化量を定量的に評価することを可能にした。また、海氷サンプルの炭酸系成分のデータおよび海洋観測データより、淡水の起源(海氷融解水・融雪水・河川水)によってpCO2に与える影響が異なることを明らかにした。特に、これまで雪を含む低塩分の氷は海洋表面pCO2を大きく低下させると考えられていたが、高塩分の氷と比べて、炭酸系成分の希釈に対する寄与は大きいものの、pCO2低下に与える影響は小さい可能性があるということが示唆された。そして、この各淡水の影響の違いを反映させることで、淡水流入によるpCO2の変化量について、より正確な評価を行うことを可能にした。
これらの結果は、pCO2の将来変化を予測する上で、淡水流入量の変化だけでなく、その組成の変化にも注目していく必要があることを示している。
以上の研究成果を国内外の学会および研究集会で発表した。また、論文をJournal of Geophysical Research: Oceanに投稿し、現在査読中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

研究奨励費を用いて、日本海洋学会2023年度秋季大会、ドイツ・ブレーメン大学で行われたNew Frontiers in Environmental Scienceという国際ワークショップに参加し、研究発表を行った。また、ドイツ・Alfred Wegener Instituteを訪問し、極域海洋化学の専門家の研究者の方々とミーティングを行うことができた。これらの活動により、自身の研究内容を深めることでき、その結果、当初の計画よりも早い段階で論文を提出することができた。
また、当初の研究計画の内容を早い段階で論文化することができたことにより、同様のデータを用いた追加の研究にも着手することができている。

今後の研究の推進方策

現在、査読中の「北極海太平洋セクターにおける二酸化炭素分圧の季節変化の定量的評価」に関する論文について、修正を行なっていく。
また、当初の研究計画よりも早い段階で論文化することができたので、追加の研究として「北極海太平洋セクターの淡水分布」についての研究を行うことを計画している。2021年の北極海太平洋セクターでは、例年と比べて低塩分であったことが明らかになっている。今後は、この低塩分の原因について、酸素安定同位体比やアルカリ度といった化学成分を用いて検証する。また、低塩分の原因の一つである淡水の分布や淡水中の化学成分について明らかにすることにより、炭酸系成分と淡水の関係についても追加の検証を行なっていく。これにより、北極海の二酸化炭素吸収量の将来予測の精度向上に貢献する知見を得ることを目指す。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Biogeochemical characteristics of brash sea ice and icebergs during summer and autumn in the Indian sector of the Southern Ocean2023

    • 著者名/発表者名
      Nomura Daiki、Sahashi Reishi、Takahashi Keigo D.、Makabe Ryosuke、Ito Masato、Tozawa Manami、Wongpan Pat、Matsuda Ryo、Sano Masayoshi、Yamamoto-Kawai Michiyo、Nojiro Natsumi、Tachibana Aiko、Kurosawa Norio、Moteki Masato、Tamura Takeshi、Aoki Shigeru、Murase Hiroto
    • 雑誌名

      Progress in Oceanography

      巻: 214 ページ: 103023-103023

    • DOI

      10.1016/j.pocean.2023.103023

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Responses of diatom assemblages and life cycle to sea ice variation in the eastern Indian sector of the Southern Ocean during austral summer 2018/20192023

    • 著者名/発表者名
      Matsuno Kohei、Sumiya Kohei、Tozawa Manami、Nomura Daiki、Sasaki Hiroko、Yamaguchi Atsushi、Murase Hiroto
    • 雑誌名

      Progress in Oceanography

      巻: 218 ページ: 103117-103117

    • DOI

      10.1016/j.pocean.2023.103117

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Distribution and determinants of nutrients and primary production in the eastern Indian sector of the Southern Ocean2023

    • 著者名/発表者名
      Tozawa, M., Nomura, D., Yamazaki, K., Kiuchi, M., Hirano, D., Aoki, S., Sasaki, H., Murase, H.
    • 学会等名
      Japan Geoscience Union Meeting 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Quantitative assessment of factors contributing to variations in sea surface pCO2 in the Pacific sector of the Arctic Ocean2023

    • 著者名/発表者名
      Tozawa, M.
    • 学会等名
      New Frontiers in Environmental Science
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 北極海太平洋セクターにおける淡水の流入が海洋表面二酸化炭素分圧に与える影響2023

    • 著者名/発表者名
      戸澤愛美、野村大樹、八田真理子、藤原周、安中さやか、村田昌彦
    • 学会等名
      日本海洋学会2023年度秋季大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-26   更新日: 2024-12-25  

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