研究課題/領域番号 |
23KJ0044
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分61010:知覚情報処理関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
櫻井 慶悟 北海道大学, 情報科学院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2025年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 推薦システム / 機械学習 / グラフ解析 / 生体情報解析 / バンドル生成 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,ユーザの潜在的嗜好を理解可能なエージェントに基づく推薦技術の構築する.まず,コンテンツ・利用履歴・ユーザの生体情報の関連性分析手法を構築することにより,ユーザの潜在的嗜好を反映可能な潜在空間を構築する.さらに,構築した潜在空間におけるユーザの関心度が高いコンテンツと他コンテンツとの距離を考慮した重み付き動的知識グラフを構築し,ユーザの潜在的嗜好とその変化を把握する.また,動的知識グラフ上のコンテンツをユーザの嗜好形成を模倣するように探索する"デジタルツインエージェント"を強化学習を用いて設計する.以上により,ユーザの嗜好形成過程を反映可能な革新的な推薦推薦技術を構築する.
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研究実績の概要 |
本年度は,コンテンツ情報,利用履歴,ユーザの生体情報の関連性分析手法を構築することにより,ユーザの潜在的嗜好を反映可能な潜在空間を構築することを目的として研究を行った. まず,コンテンツ情報とサービスの利用履歴を協調的に活用したグラフ分析手法を構築し,この手法を用いたバンドル生成手法を提案した.本手法では,コンテンツのメタデータやサービスの利用履歴により構築された異種グラフに対しグラフ畳み込みネットワーク (GCN) を適用し,異種データ間の潜在的関係性を考慮するための損失関数を用いて学習を行うことにより,高精度化なバンドル生成が実現されることを明らかにした. また,ユーザより得られた生体情報とコンテンツ情報を協調的に用いたコンテンツ推薦システムを提案した.本手法では,ユーザの生体情報と興味関心の関連度を深層学習モデルで学習することにより,ユーザが潜在的に興味を抱いているコンテンツをリアルタイムで推薦可能であることを明らかにした. 加えて,生体情報の解析にさらなる焦点を当て,土木分野のユーザへの実社会応用に取り組んだ.具体的に,地下鉄トンネル点検作業を行う点検者より,骨格の動きの情報および視線の情報を取得し,若手点検者と熟練点検者の差異について分析した.さらに,熟練点検者の生体情報を利用した機械学習モデルを構築し,若手技術者に対して点検すべき箇所を高精度に推薦することに成功した. 当該年度における研究成果として,査読付き論文誌への採録が1件,査読付き国際学会における発表が2件,受賞が1件という優れた成果を挙げている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度では,まず,コンテンツ情報と利用履歴の関連性分析手法をグラフニューラルネットワークに基づき構築し,バンドル生成手法に対する応用を行った.さらに,コンテンツ情報とユーザの生体情報の関連性分析手法を構築し,本手法により構築した潜在空間を用いた推薦システムを提案した.加えて,ユーザの生体情報解析のさらなる応用として土木分野のユーザに対する変状箇所推薦システムを提案した.このように,異種データの関連性分析手法の構築とこれらの手法により得られる潜在空間に基づいた推薦システム等の応用に関する研究を円滑に遂行されたことから,本年度の目的は概ね達成されたと判断される. また,本年度に構築したこれらの手法に関しては著名な国際会議や論文誌から好意的な評価を頂いた.コンシューマエレクトロニクス分野のフラグシップ国際会議や査読付き論文誌に採択され,論文賞を受賞したことからも,おおむね順調に研究が進展していると判断できる.したがって,本区分を選択した.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方針として,本年度構築した手法をさらに発展させることにより,時系列情報を考慮した動的知識グラフ生成手法を構築する予定である.本年度は,時系列情報等を考慮しない静的なグラフを用いた手法の構築に重点を置いたが,ユーザの嗜好やコンテンツの情報が大きく変化した際に適切なコンテンツを推薦することが困難であるという問題が存在する.そこで,グラフ畳み込みネットワークと生成モデルを活用することにより,ユーザの嗜好やコンテンツの情報が大きく変化する場合であっても,適切な推薦を可能とする新たなグラフ解析理論を構築する予定である. 最終的には,上記により得られた研究成果を検索・推薦に関する国際会議( International ACM SIGIR Conference on Research and Development in Information Retrieval, ACM Conference on Recommender Systems)で発表することに加えて,IEEE Transaction on Multimediaなどの国際論文誌に積極的に投稿することを予定している.
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