研究課題/領域番号 |
23KJ0069
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
平田 裕己 北海道大学, 生命科学院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2025年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | C-H官能基化 / 位置選択性 / 複核錯体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、現在まで遷移金属を用いたC-H官能基化に用いられていた第9族遷移金属を有した単核CpM錯体を二核に変更し、遠隔位のC-H官能基化、その不斉化行うものである。単核触媒では、配位場が近接していることやその数の不足に起因して、C-H結合切断の位置選択性の変更が困難であり、その不斉化にも工夫が必要であった。本研究では、触媒の金属中心を二核にし配位場間の距離を確保、その数も増加させることで、これら2つの課題を一度に解決する。
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研究実績の概要 |
二核錯体を利用した遠隔位C-H官能基化反応を目指し、二核Co、Rh、Ir錯体の合成を挙げていた。構造が強固に固定されている二核錯体の合成を目指し、配位子の合成を試みたが、本来想定していた配位子の合成は困難であることが判明した。よって、量子化学計算等を用いた緻密な配位子設計を再度行い、当初想定していた通りの配位子を有した二核錯体ではないものの、目標の遠隔位C-H官能基化が達成可能であると考えられる新規二核Co、Rh、Ir錯体3種の合成に成功した。中心金属が異なる3種類の二核錯体は今後の遠隔位C-H官能基化反応を達成するにあたって、検討可能な反応系を格段に増加させることができるという点において、大きな進歩があった。 また、二核錯体においては遠隔位の官能基化という位置選択性の発現の達成を目指していたが、異なる位置選択性の発現を達成することにも成功している。高原子価遷移金属錯体を用いたC-H官能基化において、配向基と呼ばれる金属中心に配位して位置選択性を決定する官能基が盛んに利用されている。それらの配向基を利用したC-H官能基化において、現在までC(sp2)-H官能基化が大半を占めており、C(sp3)-H官能基化はC(sp3)-H結合の結合自身の強さや酸性度の高さから報告が少ないのが現状であった。そのため、同化合物内に存在するC(sp2)-H結合とC(sp3)-H結合が、配向基に対して切断可能な位置にある場合、主にC(sp2)-H結合が官能基化され、C(sp3)-H結合のみが官能基化された化合物を得ることは難しい。そこで新たな位置選択性の制御法として配向基の構造に注目することで、C(sp3)-H結合の選択的な活性化を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定通り、初年度において遠隔位C-H官能基化反応を目指して複核錯体の合成に取り組んだ。その結果、計画通り3種類の複核錯体の合成に成功し、適応可能な反応の検討にまで着手することができた。 それに加え、C-H結合が官能基化される位置の選択性として、通常反応が遅いC(sp3)-H結合の活性化を選択的に行うことに成功している。これは遠隔位に対する位置制御のみならず、反応性を制御することにより異なる位置選択性の発現を実現しており、当初の計画以上に研究が進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究遂行方針として、本年度の目的であった二核錯体の合成に成功しているため、当初の計画通りその錯体を用いた遠隔位C-H官能基化反応の検討を中心に行う予定である。 また、研究に予想以上の発展がみられた場合には、遠隔位不斉C-H官能基化反応にまで発展させる計画である。 反応の検討を行なう際に、量子化学計算を用いて実現可能な反応系を事前に探索し、効率的な反応の検討を行なう予定である。
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