研究課題/領域番号 |
23KJ0075
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
開澤 菜月 帯広畜産大学, 畜産学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2025年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2024年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2023年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | ヤスデ / 冬季 / 積雪下 / 分類 |
研究開始時の研究の概要 |
ツムギヤスデ目は,世界で50科約230属約1100種,日本では7科9属約30種が記録されているが,本目の分類は混乱している.その一方で,日本産ツムギヤスデ目の遺伝子情報は皆無である.ツムギヤスデ目は低温に適応しているという特徴があり,森林限界以上の高山や冷涼な洞窟環境でも確認されている.成体は晩秋から早春に活動するが,積雪期における活動状況は不明であった.そこで,本研究では日本の豪雪地帯において冬季に活動するツムギヤスデ目の生態を明らかにし,形態と遺伝子の両方に基づいた分類学的な研究を行う.
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研究実績の概要 |
ツムギヤスデ目は,世界で50科約230属約1100種,日本では7科10属約30種が記録されている.本目の同定に重要な形質である生殖肢は複雑であること,成長に伴って生殖肢が変化することなどの理由により,分類は混乱している.ツムギヤスデ目は低温に適応しているという特徴があり,森林限界以上の高山や冷涼な洞窟環境でも確認されている.成体は晩秋から早春に活動するが,積雪期における活動状況は不明であった.野外での冬期の活動および積雪下での実態を明らかにすることで,生活史や低温耐性,積雪下生物群集の食物網などの解明につながる可能性がある.そこで,日本の豪雪地帯において冬季に活動するツムギヤスデ目の生態学的研究,および形態と遺伝子の両方に基づいた分類学的研究を行っている. 今年度は北海道の6調査地(上川総合振興局,十勝総合振興局,石狩振興局,檜山振興局)において積雪下で捕獲されたツムギヤスデ目とそれ以外のムカデ類およびヤスデ類の分類・生態に関する概要をまとめた.その内容を日本土壌動物学会大会で口頭発表した.積雪下で多数のツムギヤスデ目が捕獲されたが,分類学的研究の途中であるため,この発表では属までの同定にとどめた.さらに,北海道(オホーツク総合振興局,釧路総合振興局,十勝総合振興局,日高振興局,留萌振興局,石狩振興局,胆振総合振興局,後志総合振興局,檜山振興局および渡島総合振興局),富山県および長野県でツムギヤスデ目の調査を実施した.今年度の調査ではツムギヤスデ目3科が採集された.これらの標本についても積雪下に設置した落とし穴トラップで捕獲された標本とともに,分類学的な検討を実施している.採集されたツムギヤスデ目以外のムカデ類およびヤスデ類の一部は,学会誌等に論文として発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ツムギヤスデ目に関する研究内容は論文として出版できていないが,ツムギヤスデ目の採集や標本の観察を進めることができている.調査で採集されたツムギヤスデ目以外のムカデ類およびヤスデ類の一部は,学会誌等に論文として発表した. 北海道帯広市では,2021年度から毎年晩秋から早春にかけて落とし穴トラップを設置し,冬季に活動する節足動物を調査している.2023年度までで3年間のデータが集まったため,現在ムカデ類およびヤスデ類の分類学的な検討を行っている途中である.
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今後の研究の推進方策 |
積雪下で捕獲されたツムギヤスデ目の詳細な形態は電子顕微鏡も用いてさらに検討を進めていく.一部の種については共同研究者の協力を受け,遺伝子解析を行う予定である. 本州東部において積雪下で捕獲されたヤスデ類,および北海道帯広市の冬季に捕獲されたヤスデ類については生態学的な知見が得られている.これらについても分類学的な検討を進め,論文化する.
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