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液体潤滑下におけるソフトマテリアルの超高摩擦発現メカニズムの解明と応用

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ0110
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金
応募区分国内
審査区分 小区分18040:機械要素およびトライボロジー関連
研究機関東北大学

研究代表者

石ザコ 新太  東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2024年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2023年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
キーワードゴム / 摩擦 / 潤滑 / 流体圧力 / 負圧
研究開始時の研究の概要

ウェットグリップ性が求められる靴底や自動車タイヤにおいて,液体中での高摩擦化は長年の課題である.申請者はこれまでに,端面角部半径の小さいゴムブロックが潤滑液中で高摩擦を発現することを明らかにしているが,その発生条件の体系的解明,メカニズムの解明が求められている.本研究では,申請者が発見した潤滑液中におけるゴムブロックの高摩擦発現メカニズムの解明およびそれを応用した超高摩擦ソフトマテリアルの開発を目指す.本研究で開発が期待される超高摩擦ソフトマテリアルは,靴底やタイヤ,ブレーキなどに加えて,超高摩擦グリッパーへの応用などロボティクス分野への波及も期待できるなど,高い発展性を有している.

研究実績の概要

ウェットグリップ性が求められる靴底や自動車タイヤにおいて,液体中での高摩擦化は長年の課題である.申請者はこれまでに,端面角部半径の小さいゴムブロックが潤滑液中で高摩擦を発現すること,また潤滑液の粘度が高いほど高摩擦になることを明らかにしているが,その発生条件の体系的解明,メカニズムの解明が求められている.本研究では,ゴムブロックが潤滑液中で超高摩擦を発現する条件および超高摩擦発現メカニズムを明らかにすること,またこの結果を設計指針として,潤滑液中における超高摩擦靴底意匠の開発に挑戦することを目的とする.
令和5年度は,ゴムブロックが潤滑液中で超高摩擦を発現する条件および超高摩擦発現のメカニズムを解明することを目的とし,端面角部半径の異なるゴムブロック試験片を作製し,すべり速度や油の深さ等の潤滑条件を変えてすべり摩擦試験を行った.また圧力センサや変位センサを用いて,摩擦試験中におけるゴムブロック接触界面の流体圧力分布やゴムブロック断面形状を測定した.
その結果,端面角部半径の減少に伴い高摩擦になること,すべり速度が大きく油の深い潤滑条件でより高摩擦になることが確認された.またゴムブロックの接触界面に負の流体圧力が発生することが明らかになり,端面角部半径が小さいほど負圧が大きくなることが確認された.さらに流体圧力を積分して算出した吸着力と摩擦係数には条件によらず強い正の相関がみられた.
ゴムブロックの断面形状から接触界面の流路モデルを考え,その流路で発生する流体圧力を計算した.その結果,端面角部半径の小さいゴムブロックは正圧が発生する収縮隙間が小さく,負圧が発生する拡大隙間が大きいために負圧が大きくなったことが示された.これらの結果から潤滑液中における高摩擦発現のメカニズムが,接触界面で大きい負圧が発生してより大きい吸着力が負荷されたために高摩擦化したということが示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和5年度は,ゴムブロックが潤滑液中で超高摩擦を発現する条件および超高摩擦発現のメカニズムを解明することを目的とし,端面角部半径の異なるゴムブロック試験片を作製し,すべり速度や油の深さ等の潤滑条件を変えてすべり摩擦試験を行った.
潤滑液中で高摩擦を発現する条件については,ゴムブロックの端面角部半径の減少に伴い高摩擦になること,すべり速度が大きく油の深い潤滑条件でより高摩擦になることが確認された.またゴムブロックの接触界面に負の流体圧力が発生することが明らかになり,ゴムブロックの端面角部半径が小さく,すべり速度が速く,油が深いほど負圧が大きくなることが確認された.これらについては学術誌にて発表されており,研究は順調に進展している.
また,超高摩擦発現のメカニズムについては,油中でのすべり摩擦試験の結果から流路モデルを考え,その流路で発生する流体圧力を計算した.その結果,ゴムブロック後端の剥離により拡大隙間が形成されると負圧が発生すること,その負圧はすべり速度の増加および潤滑液の粘度の増加に伴い増加することが分かった.また端面角部半径の小さいゴムブロックは正圧が発生する収縮隙間が小さく,負圧が発生する拡大隙間が大きいためにより負圧が大きくなることが示された.これらの結果から潤滑液中における高摩擦発現のメカニズムが,接触界面で大きい負圧が発生してゴムブロックにより大きい吸着力が負荷され高摩擦化したということが示唆された.これについても学術誌にて発表されており,研究は順調に進展している.

今後の研究の推進方策

これまでの研究で明らかになった超高摩擦発現メカニズムに基づいて,潤滑下で超高摩擦を発現する靴底意匠を設計し,靴を試作して耐滑性評価を行うことが今後の研究目的である.
令和5年度の研究実績より,潤滑液中では流体圧力が高摩擦化に影響することが分かったが,ゴムブロックの意匠や硬度,潤滑液の粘度など流体圧力に影響する因子は複数存在する.そこでシミュレーションを用いて,ゴムブロックの意匠や弾性率を変えて接触界面に発生する流体圧力やゴムブロックの変形量などを解析し,最も負圧が発生し高摩擦になった好適形状のゴムブロックを試作し摩擦試験を行う.また,健常成人10名を被験者として募集し,油で濡れた床面上での歩行実験を行うことで試作した靴底の耐滑性評価を行う.これらについて,国内会議2件,国際会議1件,オープンアクセス論文1報にて発表を行う.

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] High friction of rubber caused by negative fluid pressure under glycerol lubrication2024

    • 著者名/発表者名
      Ishizako Arata、Nishi Toshiaki、Yamaguchi Takeshi
    • 雑誌名

      Tribology International

      巻: 192 ページ: 109213-109213

    • DOI

      10.1016/j.triboint.2023.109213

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Effect of the end-face corner radius of a rubber block on the friction coefficient and fluid-free gap under glycerin lubrication2023

    • 著者名/発表者名
      Ishizako Arata、Matsumoto Hide、Yamaguchi Takeshi
    • 雑誌名

      Tribology International

      巻: 184 ページ: 108473-108473

    • DOI

      10.1016/j.triboint.2023.108473

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] グリセリン潤滑下におけるゴムブロックの高摩擦発現に及ぼす流体圧力の影響2023

    • 著者名/発表者名
      石﨏新太,松本英,山口健
    • 学会等名
      トライボロジー会議2023春 東京
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Experimental Investigation of High Friction Phenomenon of Rubber Block under Oil Lubrication2023

    • 著者名/発表者名
      Arata Ishizako, Hide Matsumoto, Takeshi Yamaguchi
    • 学会等名
      9th International Tribology Conference, Fukuoka 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 潤滑下におけるゴムの高摩擦発現に及ぼす流体圧力の影響とそのメカニズムの解明2023

    • 著者名/発表者名
      石﨏新太,西駿明,山口健
    • 学会等名
      第14回トライボダイナミクス研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演

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公開日: 2023-04-26   更新日: 2024-12-25  

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