研究課題/領域番号 |
23KJ0117
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分64020:環境負荷低減技術および保全修復技術関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
工藤 宏史 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | モエジマシダ / ヒ素 / マルチオミクス解析 / 環境-生物間相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
植物を汚染浄化に利用するファイトレメディエーションは持続可能な環境修復技術であるが,実環境では確実な浄化効果を得ることが難しく実用化には至っていない.この原因として、実環境における複雑な環境‐生物間相互作用の中で、除去効率に影響する要因を解明できていないという課題が挙げられる.そこで,本研究はヒ素超蓄積植物モエジマシダを例として,ヒ素汚染圃場での植物の栽培試験を行う.圃場栽培で得られた植物・土壌サンプルから元素,代謝産物,微生物などのデータを網羅的に取得し,データサイエンスの手法により環境‐生物間相互作用を解析することで,生物学的ヒ素除去プロセスの効率化要因を明らかにする.
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研究実績の概要 |
本研究では、ヒ素超蓄積植物モエジマシダ(Pteris vittata)のヒ素ファイトレメディエーションの実用化に向けて、圃場環境におけるモエジマシダのヒ素吸収促進要因を明らかにすることを目的に実験を行った。実験では、ヒ素汚染圃場および非汚染圃場でモエジマシダを栽培した。栽培は6月から10 月にかけて実施し、栽培期間中は植物サンプルおよび植物根圏土壌を毎月1回の頻度でサンプリングした。得られた植物サンプルは、誘導結合プラズマ質量分析装置によりヒ素濃度を分析した。また、根圏土壌からは、蛍光X線分析装置、イオンクロマトグラフ、核磁気共鳴装置および次世代シーケンサーにより、それぞれ水溶性陰イオン、各種元素の全含有量、土壌中代謝産物、土壌中微生物についてのデータを取得した。これらの測定で得られたマルチオミクスデータは、機械学習により植物中ヒ素濃度に影響する変数とその重要度を算出した。さらに、重要度の高い変数を抽出したうえで、変数間の関係性はベイジアンネットワークにより可視化した。ベイジアンネットワークからは、土壌中硝酸イオン濃度の低下がモエジマシダのヒ素吸収の促進に寄与することが示唆された。土壌中硝酸イオン濃度はモエジマシダの乾燥重量には無関係であったことから、土壌中硝酸イオン濃度の低減は、モエジマシダの乾燥重要に影響することなく、ヒ素除去量の向上に寄与すると考えられた。本研究では、マルチオミクスデータとデータサイエンス手法を活用することにより環境―生物間の相互作用を可視化し、生物学的ヒ素除去プロセスの効率化につながる要因を明らかにした。
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