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オペランドテンダーX線タイコグラフィによるリチウム硫黄電池の劣化メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ0137
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金
応募区分国内
審査区分 小区分36020:エネルギー関連化学
研究機関東北大学

研究代表者

阿部 真樹  東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
キーワードX線タイコグラフィ / X線吸収分光 / テンダーX線 / リチウム硫黄電池
研究開始時の研究の概要

リチウム硫黄電池は従来のリチウムイオン電池と比べて6倍以上高い理論容量を示すことに加え、正極に用いる硫黄が安価であるなど多くの利点を有する二次電池である。しかし、充放電を繰り返すことで容量が急速に低下するなどの問題から商用利用は進んでおらず、問題解決のためには充放電による正極の劣化原因の究明が不可欠である。本研究では、材料内部の微視的な硫黄化学状態を観察できる「テンダーX線タイコグラフィ」により動作環境下(オペランド)にあるリチウム硫黄電池正極を計測可能な電池セルを開発する。そして、充放電過程における硫黄化学状態変化を可視化することで、正極が劣化するメカニズムを明らかにする。

研究実績の概要

本研究の目標はテンダーX線タイコグラフィを用いてリチウム硫黄電池の劣化メカニズムを明らかにすることである。この目標に向け本年度は、テンダーX線の透過率を確保可能な薄型電池セルの開発と、これを用いた電解液中の硫黄電極の観察に取り組んだ。
開発した薄型電池セルは主に、X線窓に用いる500 nm厚SiN膜を備えた二枚のメンブレンチップと、35 um厚のカプトンテープスペーサーから成る。二枚のメンブレンチップには導通を確保するためにAl膜を蒸着した上で、それぞれに硫黄活物質材料である硫黄変性ポリブチルメタクリレートとリチウム源であるLiFePO4を担持させた。そして、カプトンテープが形成するメンブレンチップ間の隙間に電解液を封入することで電池セルとした。これにより、電解液の厚みをテープ厚程度に抑えることができ、セルに対する2.5 keVのテンダーX線の透過率を10%以上確保できる見込みである。
次に、開発した電池セルを用いたテンダーX線タイコグラフィ計測の性能を確かめるため、大型放射光施設SPring-8のBL27SUにおいて放射光実験を実施した。実験では硫黄K吸収端近傍のエネルギーに単色化されたテンダーX線を、フレネルゾーンプレートによって集光してセル内部の正極に照射した。試料からの回折強度パターンの計測には二次元検出器SOPHIAS-Lを用いた。測定された回折強度パターンを解析することで、硫黄電極におけるX線の位相シフト量の分布ならびに吸光度の分布(吸収像)を再構成することができた。そして、吸収端近傍の複数エネルギーで測定された吸収像の各ピクセル(約50 nm)から、硫黄化学状態を反映する空間分解X線吸収スペクトルを取得することに成功した。この結果は、テンダーX線タイコグラフィを用いることで、電極内部で生じる微視的な硫黄化学状態変化を観察できることを示す重要な成果である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、薄型リチウム硫黄電池セルの開発、およびこれを用いたテンダーX線タイコグラフィ計測の実施による電解液中の硫黄電極の観察に成功した。また、得られた試料像を解析することで硫黄化学状態の分布を取得できることが分かった。

今後の研究の推進方策

開発した薄型リチウム硫黄電池セルを用いたオペランド・テンダーX線タイコグラフィ計測を実施することで、充放電過程で硫黄電極に生じる化学状態変化の可視化に取り組む。具体的には、ポテンショ・ガルバノスタットを用いて電池セルの充放電状態を放電前、一回放電、一回充電の各状態に制御・維持し、各状態の硫黄電極をテンダーX線タイコグラフィによって計測する。再構成吸収像より得られる空間分解X線吸収スペクトルを解析することで、充放電状態が異なる電極の硫黄化学状態分布を取得する。そして、それらを比較することで充放電過程において電極中に生じる化学反応の分布や硫黄の流出経路を明らかにする。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] X-ray ptychographic and fluorescence microscopy using virtual single-pixel imaging based deconvolution with accurate probe images2023

    • 著者名/発表者名
      Abe Masaki、Ishiguro Nozomu、Uematsu Hideshi、Takazawa Shuntaro、Kaneko Fusae、Takahashi Yukio
    • 雑誌名

      Optics Express

      巻: 31 号: 16 ページ: 26027-26027

    • DOI

      10.1364/oe.495733

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Virtual single-pixel imagingに基づくX線タイコグラフィ-蛍光顕微法の提案2024

    • 著者名/発表者名
      阿部真樹、石黒志、上松英司、高澤駿太郎、金子房恵、高橋幸生
    • 学会等名
      第37回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-26   更新日: 2024-12-25  

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