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自然免疫分子STINGによるTBK1活性化分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ0155
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金
応募区分国内
審査区分 小区分43030:機能生物化学関連
研究機関東北大学

研究代表者

見目 悠  東北大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2024年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2023年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
キーワード自然免疫 / 細胞内物質輸送 / 小胞体 / ゴルジ体 / オルガネラ / コレステロール / STING / PALM
研究開始時の研究の概要

小胞体に局在する膜タンパク質STINGは、ウイルス感染時に細胞質中に露出したDNAに応答して自然免疫応答を惹起する。細胞質に局在するタンパク質キナーゼであるTBK1を欠損した細胞を用いた実験から、STINGが自然免疫応答を誘導するためにはTBK1が必要であることが示唆され ているが、細胞内においてSTINGがTBK1を活性化している分子機構に関しては不明な点が多く 残されている。そこで本研究では、STINGがTBK1を活性化する最初のステップである、TBK1のSTINGへのリクルートメントがTGN特異的に起きる分子機構を明らかにすることを目的とする。

研究実績の概要

自然免疫は異物に対する先天的な応答機構であり、感染初期の生体防御において重要な役割を持つ。STING経路は、ウイルス感染時に細胞質ゾルに露出したDNAに応答して自然免疫応答を惹起するシグナル伝達経路である。細胞質ゾルに局在するキナーゼTBK1は、STING経路下流の活性化に必要であり、STINGはTBK1を活性化するための足場タンパク質として機能すると想定されている。また、小胞体に局在する膜タンパク質STINGは細胞質ゾルDNAに応答して小胞体からゴルジ体に移行することが示されている。申請者はこれまでに、STINGが小胞体ではなく、トランスゴルジネットワーク(TGN)に移行して初めてTBK1を細胞質ゾルからリクルートすることを明らかにしてきた。しかし、小胞体やシスゴルジネットワークではなく、TGNに移行したSTINGがTBK1をリクルートする分子機構に関しては明らかではなかった。本研究では、STINGがTGN特異的にTBK1をリクルートする分子機構を明らかにすることを目的としている。

本年度は、超解像度顕微鏡法PALMを用いて、STING分子の動態を1分子レベルで解析した。その結果、STINGは、パルミトイル化脂質修飾を介してTGNのコレステロールを含む脂質マイクロドメインで平均20分子以上のクラスターを形成すること、このSTINGのクラスター形成が自然免疫シグナルの活性化に必要であること、STINGがクラスター化した状態でTBK1のゴルジ体上での停留時間が長くなることを見出した。これらの結果から、STINGがTBK1の足場タンパク質として機能していることをはじめて証明することができた(Kemmoku et al., Nature Communications 2024)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の計画通り、STINGの細胞内動態を詳細に調べるために、超解像度顕微鏡法PALMを用いて、細胞内STING分子の局在を1分子レベルで解析した。その結果、STINGは、パルミトイル化脂質修飾を介してTGNのコレステロールを含む脂質マイクロドメインで平均20分子以上のクラスターを形成すること、およびSTINGのクラスター形成が自然免疫シグナルの活性化に必要であることを見出した。また本研究成果は、国際誌にて公表している(Kemmoku et al., Nature Communications 2024)。以上のことから、本研究は当初の計画以上に進んでいるものと判断した。

今後の研究の推進方策

STINGは小胞体でリガンドと結合した後、ゴルジ体、リサイクリングエンドソーム(RE)を経由し、最終的にリソソームに輸送され分解される。最近、STINGがTGNやREに局在移行した際にプロトンチャネルとして機能し、NLRP3インフラマソームやCASM(LC3の脂質化が、脂質二重膜である隔離膜上ではなく、脂質一重膜上で起きる現象)を誘導することが示唆された。しかし、STINGがTGN及びREで特異的にプロトンチャネルとして機能するメカニズム、並びにプロトンチャネル機能によりSTINGがCASMを誘導するメカニズムについてはよく分かっていない。本研究では、STINGがTGNでクラスター化することを明らかにしており、このクラスター化がそれらメカニズムと関係している可能性がある。今後は、この可能性を検証していく予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Single-molecule localization microscopy reveals STING clustering at the trans-Golgi network through palmitoylation-dependent accumulation of cholesterol2024

    • 著者名/発表者名
      Kemmoku Haruka、Takahashi Kanoko、Mukai Kojiro、Mori Toshiki、Hirosawa Koichiro M.、Kiku Fumika、Uchida Yasunori、Kuchitsu Yoshihiko、Nishioka Yu、Sawa Masaaki、Kishimoto Takuma、Tanaka Kazuma、Yokota Yasunari、Arai Hiroyuki、Suzuki Kenichi G. N.、Taguchi Tomohiko
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 15 号: 1 ページ: 1-17

    • DOI

      10.1038/s41467-023-44317-5

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] トランスゴルジネットワークにおけるコレステロール依存的なSTINGのクラスター形成とその意義 「Activation of STING requires cholesterol-mediated clustering at the TGN」2023

    • 著者名/発表者名
      見目悠, 高橋花乃子, 向井康治朗, 朽津芳彦, 鈴木健一, 田口友彦
    • 学会等名
      第96回日本生化学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-26   更新日: 2024-12-25  

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