研究課題/領域番号 |
23KJ0159
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長崎 果林 東北大学, 歯学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2024年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2023年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | PLAP-1/Asporin / 歯根膜 / 歯周組織再生 / TGF-β / 機能ペプチド / 組換えタンパク |
研究開始時の研究の概要 |
PLAP-1は歯根膜に高発現して未分化間葉系細胞の骨芽細胞やセメント芽細胞への分化を制御していることが報告されている。これまでの研究からPLAP-1が歯周組織の恒常性維持に重要な役割を果たすことが示唆されているが、歯周組織再生におけるPLAP-1の機能は未だ明らかにされていない。そこで本研究はPLAP-1ノックアウトマウスを用いて、PLAP-1の欠損が歯周組織再生に与える影響の解明と、PLAP-1組換えタンパクあるいは機能ペプチドの局所投与が歯周組織再生に与える効果の解明を行う。
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研究実績の概要 |
近年、歯根膜の構造・機能の獲得にPLAP-1/Asporinや骨シアロタンパク質などの細胞外基質タンパク質が関与することが明らかとなってきた。特にPLAP-1はサイトカインによる細胞シグナルを調節し、歯根膜において細胞増殖や未分化間葉系細胞の骨芽細胞やセメント芽細胞への分化を制御していることが報告されている。しかしながら、歯周組織再生期におけるPLAP-1の機能は未だ明らかにされていない。そこで本研究は、以下の2つを研究目的として遂行する。 ①PLAP-1の欠損がマウス歯周組織再生に与える影響の評価:本年度は、PLAP-1の欠損がマウス歯周組織再生に与える影響を、絹糸結紮による実験的歯周炎モデルを用いて検討した。現在、マウス歯周組織の凍結切片を作製しており、今後レーザーマイクロダイセクション法にて歯根膜組織を回収し、RNAを抽出することとしている。 ② PLAP-1組換えタンパク質あるいは機能ペプチドの局所投与がマウス歯周組織再生に与える効果の検討:本年度は、歯周組織に局所投与するためのPLAP-1組換えタンパク質を新規に精製し、精製したタンパク質が期待される機能を保持することをin vitroの実験にて確認した。TGF-βとの結合が報告されている機能ペプチドも合成しており、現在、これらタンパク質あるいはペプチドの局所投与が、歯周組織再生に与える効果の評価を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験的歯周炎を惹起させたPLAP-1 KOマウスでは、野生型マウスと比較して有意な歯槽骨吸収が確認された。一方で、PLAP-1 KOマウスにおける歯周組織再生誘導後の歯槽骨は野生型マウスと同等のレベルまで再生していた。これにより、マウスにおけるPLAP-1の欠損は歯周組織破壊を助長するが、歯周組織再生を阻害しないことが示唆された。現在、マウス歯周組織凍結切片の作製に着手している。また、新規に精製したD13型PLAP-1組換えタンパクは、BMP-2刺激によるマウス歯根膜細胞のALP活性を有意に抑制することがin vitroで確認された。現在、これらタンパク質およびペプチドを再生期マウス歯周組織に局所投与して、これらが歯周組織再生に与える効果を評価している。 以上より、当初の研究計画に沿っておおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は次の研究計画を実施し、論文投稿を予定している。 歯周組織再生期のマウス歯根膜をレーザーマイクロダイセクション法にて採取し、そこからRNAを抽出して遺伝子発現の変動をRNA-seqにて網羅的に解析する。また、PLAP-1合成ペプチドおよび組換えタンパクを再生期のPLAP-1 KOおよび野生型マウス歯周組織に局所投与し、組織再生に与える影響を評価検討する。
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