研究課題/領域番号 |
23KJ0172
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分38010:植物栄養学および土壌学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山梨 太郎 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2025年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2024年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2023年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 気体湿度応答 / 輸送体 / シロイヌナズナ |
研究開始時の研究の概要 |
外部環境に対する植物の応答メカニズム解明は生育環境に対して最適な応答の誘導・増幅を可能にし作物の生産効率の向上に大きく貢献する.湿度は,光・温度と独立して植物の体内時計を調節する第3の環境因子であることが近年発見され,生理化学的重要性が格段に引き上げられた. 植物は高湿度条件下で蒸散が抑制されると吸収された水が葉先まで到達し,排水組織から露を放出する.露の放出は蒸散の抑制を補填すると考えられているが,蒸散に比較して排出量が圧倒的に少なく,排水組織の生理学的意義と組織制御機構は謎に包まれている.本研究は,この排水組織に発現するイオン輸送体に着目し,気体湿度応答機構の解明を目指している.
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研究実績の概要 |
植物は一生を同じ場所で過ごすため,変化する環境に応じて体の状態を積極的に変化させている.一方,本研究で取り上げる湿度(湿気)に関しては,2018年 に 湿度が光 ・ 温度と独立して植物の体内時計を調節する第 3の環境因子であることが発見された.この発見により植物における湿度の 環境因子としての生理化学的重要性が格段に引き上げられた.高湿度は,日の出や夕暮れ,曇りや雨,温室栽培,工場栽培と自然環境と制御された環境の双方で発生する.植物の湿度調節の重要性の再認識と環境条件を完全に制御できる工場栽培の登場により,高湿度条件下での植物生理応答は現在 最も注目されている課題の一つである. 本研究では,この高湿度に対して重要な遺伝子の探索および解析を行った.今年度はこれまでに見出していた高湿条件下で生育に重要な遺伝子ファミリーたんぱく質の遺伝子欠損株を用意し表現型(生育)の比較評価を行った.その結果,同一ファミリーたんぱく質の中でも地上部特異的に発現する遺伝子が高湿時の生育に重要であることが分かった.さらに,詳細な組織局在解析と遺伝子発現量解析を行った.この結果からこれらの遺伝子自体の湿度環境変化による発現の変化はみられなかった.また,これらのタンパク質に関与する栄養元素について様々な手法を用いて多角的に解析を行った.この結果により,元素の吸収速度・対象遺伝子の寄与が大きい組織について新たな知見を獲得している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までにシロイヌナズナにおける高湿環境条件下での生育に重要な遺伝子を見出しており,その解析を進めている.気体湿度を厳密に制御することは非常に難しく,特に実験の系を確立するのに苦労をしたが植物の生育を繰り返すことで最適な条件を見出している.今年度はこれまでに見出していた高湿条件下で生育に重要な遺伝子ファミリーたんぱく質の遺伝子欠損株を用意し表現型(生育)の比較評価を行った.その結果,同一ファミリーたんぱく質の中でも地上部特異的に発現する遺伝子が高湿時の生育に重要であることが分かった.さらに,詳細な組織局在解析と遺伝子発現量解析を行った.この結果からこれらの遺伝子自体の湿度環境変化による発現の変化はみられなかった.また,これらのタンパク質に関与する栄養元素について様々な手法を用いて多角的に解析を行った.この結果により,元素の吸収速度・対象遺伝子の寄与が大きい組織について新たな知見を獲得している.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに植物における気体湿度に対しての新しい応答機構を明らかにしつつあり,今後気体湿度感知に迫る研究を進める予定である.その中でも現在着目しているのが植物の持つ時計遺伝子である.時計遺伝子は広範な遺伝子発現の制御にかかわることが知られており,気体湿度は時計を調節できる環境因子の一つとして知られている.そのため,この時計遺伝子に着目することによりさらに上流の感知シグナル伝達に重要な遺伝子を見出せるのではないかと考えている.
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