研究課題/領域番号 |
23KJ0188
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
加藤 春奈 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2025年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 東日本大震災 / より良い復興 / 近代復興 / テキスト分析 / 被災者による居住環境評価 / 居住環境満足度の変化 / 震災前後の土地利用変化 / 統計的検定 |
研究開始時の研究の概要 |
東日本大震災後、「より良い復興(Build Back Better)」が重要な国際的防災指針として広まり、国内ではこの考えのもと被災市街地が再建された。しかし、発災後10年以上が経過した各被災地域の実情は異なり、今後は災害後の復興が被災地に及ぼす影響を長期的な視点から評価し、明らかにすることが必要である。 そこで、本研究では岩手・宮城・福島県の東日本大震災被災地を対象に、震災前後の物的・人的変化に着目した「より良い復興」評価指標の開発を行う。また、その成果をデジタルツイン環境下で展開し、国内外での最終的なオープンデータとしての活用を目指す。
|
研究実績の概要 |
①2023年度は、国や機関によって位置付けられる「より良い復興(Build Back Better)」に関する国内外の文献調査を行い、その達成要件の国際標準化が十分になされていないことを確認した。「より良い復興」は「ハードとソフト対策の両方を復興過程で実現する」ことを意味するが、日本国内においては歴史的・制度的要因から、発災後は主にハード中心の施策がとられてきた経緯があり、とくにソフト対策の拡充が望まれ、こうした復興施策の内訳のバランスが重要であると考えられる。 ②国内における災害研究は、大災害からの復興経験がない状況であった1923年当時から、1995年の阪神・淡路大震災と2011年の東日本大震災を経て、めざましい進歩を遂げてきた。また、100年の間に人々の生活様式が変わると共に災害の様相とその対策も大きく変化している。同時に研究内容にも変化が起きていると考えられ、その変遷を知ることは今後求められる災害研究の方向性を指し示す一助となりうる。本研究では、国内に甚大な被害をもたらした3つの大震災(1923年関東大震災・1995年阪神淡路大震災・2011年東日本大震災)に関する研究内容をハード・ソフトの観点からテキスト分析を行い、100年間の災害研究の変遷を明らかにした。 ③東日本大震災後、人々に住み継がれていくことを前提とし、「より良い復興」の考えのもと被災市街地の再建が行われた。本研究では名取市閖上地区を対象とし、震災前後の土地利用変化の分析を行った。また、文献調査から質問項目を設計し、アンケート調査結果から、閖上地区の居住者視点による震災前と比較した居住環境満足度を分析した。分析の結果、「緑・街並み」「商業利便性」「安心・安全」の各項目において震災後の改善が認められた。また、統計的に確かな結果を得るための数値が得られ、これを来年度実施予定のアンケート調査に活用する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、文献調査とテキスト分析の結果を2編の論文にまとめ、国内での学会発表を行った。また、アンケート調査の結果を用いて居住環境満足度変化の分析を行い、1編の査読論文にまとめた。分析の結果から、来年度複数個所で実施予定のアンケート調査の際に有用な効果量を得ることができ、今年度の結果をもとに次の研究段階へ進むことができる。加えて、国際会議へ2編の投稿を行い、来年度に発表を行っていく。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は基本的に当初予定どおりに進めていく。高度な処理能力を有する研究用PCを速やかに購入し、2023年度の研究成果をもとに、震災前後の物理量変化についてArcGIS等を用いて分析を行う。また、現地調査を積極的に行い、関係者の方々と打ち合わせを重ね、沿岸被災地の被災者を対象としたアンケート調査を予定どおり実施する予定である。
|