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暑熱下運動時の体温上昇に伴う過換気反応に関する研究 -暑熱対策の確立に向けて-

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ0239
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金
応募区分国内
審査区分 小区分59020:スポーツ科学関連
研究機関筑波大学

研究代表者

片桐 陽  筑波大学, 人間総合科学学術院, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2024年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2023年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
キーワード高体温 / 呼吸調節 / 運動
研究開始時の研究の概要

暑熱下運動時は深部体温上昇に伴い過度に換気量が増加し、この高体温誘発性換気亢進反応の生理学的意義は明らかとなっていない。本研究では、暑熱下運動時に生じる高体温誘発性換気亢進を調節する生理的要因に血液および活動筋の水素イオンを仮定し、それらの影響を検証する計画である。さらに、本研究は高体温誘発性換気亢進のメカニズムを明らかにするだけでなく、栄養学分野・サプリメント業界に暑熱対策に有効な新たな戦略を提示することを目指す計画である。

研究実績の概要

暑熱下持久的運動時の高体温誘発性換気亢進反応には、活動筋のpH低下が関与する可能性がある。もしそうであるならば、筋中の主要な水素イオン緩衝物質であるカルノシンを増加させるβ-アラニン摂取によって、暑熱下持久的運動時の高体温誘発性換気亢進反応は抑制されると考えられるが、このことは明らかでない。
そこで本年度は、β-アラニン摂取が暑熱下中強度運動時の高体温誘発性換気亢進反応に及ぼす影響を検討した。対象者は20名の若年健康男性であり、β-アラニン (n = 10) もしくはプラセボ (n = 10) を2週間 (6.4 g/日) 摂取する前後で、暑熱下 (35℃/50%RH) 中強度 (50%最高酸素摂取量) 一定負荷運動を冷水浸水後に行った。また、中強度運動に続いて高強度 (75%最高酸素摂取量) 一定負荷運動を疲労困憊まで行い、パフォーマンス (運動継続時間) を評価した。その結果、β-アラニン摂取によって暑熱下中強度運動時における換気亢進の深部体温閾値および傾きは変化せず、同一深部体温時の換気量も低下しなかった。しかしながら、暑熱下中強度運動時の主観的運動強度や呼吸努力度は、β-アラニン摂取後に摂取前よりも低値を示した。また、高強度運動時において、β-アラニン摂取は摂取前よりも換気量を抑制し、運動継続時間の延長に効果的であった。これらの結果から、β-アラニン摂取は暑熱下中強度運動時における高体温誘発性換気亢進反応を抑制しないが、感覚 (運動や呼吸のきつさ) 増加を抑制する方策となる可能性、また、暑熱下持久的運動時のラストスパート (高強度運動時) 局面における換気亢進の抑制やパフォーマンス向上に有効な方策となる可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

関連の論文がAm J Physiol Regul Integr Comp Physiol に掲載された。また、当初予定していた研究課題の一つ「βアラニン摂取が暑熱下運動時の換気および脳血流反応に及ぼす影響」を遂行でき、興味深い結果が得られた。しかし、国際誌に採択されるための追加検討が必要である。

今後の研究の推進方策

我々はこれまでに、炭酸水素ナトリウムやβアラニン摂取によって暑熱下運動時の換気亢進反応や主観的な運動・呼吸のきつさ、脳血流量の減少が抑制されることを明らかとした。しかし、炭酸水素ナトリウムやβアラニン摂取が暑熱下運動に伴う認知機能の変化に及ぼす影響については不明である。そこで本年度は、炭酸水素ナトリウムやβアラニン摂取が暑熱下運動時の認知機能に及ぼす影響を検討する。また、βアラニン摂取により筋のカルノシン濃度が増加していることを確認するための実験を行う。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Sodium bicarbonate reduces ventilation without altering core temperature threshold or sensitivity of hyperthermia-induced hyperventilation in exercising humans2023

    • 著者名/発表者名
      Katagiri Akira、Fujii Naoto、Dobashi Kohei、Lai Yin-Feng、Tsuji Bun、Nishiyasu Takeshi
    • 雑誌名

      American Journal of Physiology-Regulatory, Integrative and Comparative Physiology

      巻: 325 ページ: 69-80

    • DOI

      10.1152/ajpregu.00282.2022

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2023-04-26   更新日: 2024-12-25  

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