研究課題/領域番号 |
23KJ0283
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
岡村 響 筑波大学, グローバル教育院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2025年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | マウス / 睡眠 / 遺伝学 |
研究開始時の研究の概要 |
レム睡眠は、鮮明な夢を生じる睡眠段階として知られている。これまでに、レム睡眠は健康維持に重要な役割を担うことが示唆されてきた。しかし、生涯にわたってレム睡眠量を増加させる方法は存在しない。我々は、特定の食事条件に依存してマウスのレム睡眠量が増加することを発見した。そこで本研究では、食事条件に依存したレム睡眠制御機構の解明を目指す。さらに、長期的なレム睡眠量増加がマウスのメンタルヘルスにもたらす影響についても解析を試みる。本研究を通して、レム睡眠量を増やす方法を開発することができれば、レム睡眠に異常があることが知られる認知症やうつ病の治療法および予防法になることが期待される。
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研究実績の概要 |
哺乳類をはじめとする一部の脊椎動物において、睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠の2つの状態に区別される。近年、因果関係は明らかではないものの、レム睡眠は健康を維持するために重要であることが示唆されつつある。したがって、レム睡眠量を増やす方法を確立することは、認知機能の維持および健康寿命の延伸へ大いに役立つことが期待される。しかしながら、実験動物のマウスでさえ、従来の技術では長期にわたってレム睡眠量を増やすことは難しかった。最近、我々の研究室ではマウスに特定の餌を与えた際にレム睡眠量が変化することを偶発的に発見した。さらに、特定の神経細胞集団を全脳で破壊すると、上記のレム睡眠量の変化のしかたが、より顕著になることも明らかにした。これらの結果を踏まえ、“特定の餌”と“特定の神経細胞集団の破壊”の相互作用により、レム睡眠量が変化することに着目し、生涯にわたってレム睡眠量が増加したマウスモデルの確立を目指している。 当該年度は、全脳で破壊された特定の神経細胞集団のうち、どのサブタイプの神経細胞集団が特定の餌条件依存的なレム睡眠量の変化に重要かを探索した。具体的には、特定の神経伝達物質により作動する神経細胞集団を除去したマウスを作製し、特定の餌を与えたときの睡眠を計測した。その結果、特定の抑制性神経細胞集団を除去したときのみ、レム睡眠量が変化することを明らかにした。次に、どの脳領域の神経細胞集団が、特定の餌条件依存的なレム睡眠量変化に重要かを調べるために、上記の神経細胞集団が多く発現している脳領域に着目した。この脳領域でのみ神経細胞集団を除去したマウスを作製し、特定の餌を与えたときの睡眠を計測したところ、レム睡眠量が変化することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、当初の研究計画通りどのサブタイプの神経細胞集団が特定の餌依存的なレム睡眠量変化に関わるのかを探索した。その結果、特定の神経伝達物質により作動する神経細胞集団がレム睡眠量変化に関与していることを明らかにすることができた。また、どの脳領域の神経細胞集団がレム睡眠量変化に重要なのかの検討も進んでいる。加えて、得られた成果を学会で発表することができた。以上より、本年度はおおむね順調に研究課題が進展したと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、研究計画に記載の通り、与える餌の違いによりマウスのレム睡眠量が変化することを踏まえ、特定の餌と通常飼育で与える餌とで、どの要因の違いがレム睡眠量変化に影響を与えているのかを探索する。加えて、どの脳領域の神経細胞集団がレム睡眠量変化に重要なのかの探索も引き続き進める。
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