研究課題/領域番号 |
23KJ0292
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分90120:生体材料学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
登坂 俊行 群馬大学, 理工学府, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2025年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ナノポアタンパク質 / リン脂質膜 / 膜タンパク質 / リポソーム / タンパク質改変 |
研究開始時の研究の概要 |
神経伝達といった細胞間のコミュニケーションの一部は細胞膜中の膜タンパク質が担っている。膜タンパク質の機能を理解し制御、活用することにより細胞質内への薬剤の送達、人工細胞モデルの構築といった医学、工学分野への応用が期待される。本研究では、化学、生物学、機械工学の学際的なアプローチから、人工膜タンパク質複合体による人工細胞膜リポソームと生細胞間の効率的なコミュニケーションシステムを確立し、さらに、疾病診断可能なバイオセンサーへの応用を目指す。
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研究実績の概要 |
人工細胞膜リポソーム-細胞間伝達システムを構築するためには、構造安定的なβバレルのナノポアタンパク質を生理条件下で効率的にリポソームに挿入する必要がある。しかしながら、βバレル構造のナノポアタンパク質を細胞サイズリポソームに挿入し、機能を観察した例は少なく、他の膜タンパク質と比較して困難である。また、エレクトロフォーメーション法や界面活性剤除去法といった、既存の細胞サイズリポソームへの膜タンパク質挿入手法では、生理塩濃度での作製が困難、もしくは、脂質膜の安定性に影響を及ぼす界面活性剤の利用が必要不可欠であった。そこで、リン脂質とナノポアタンパク質の乾燥フィルムを生理塩濃度の緩衝液で再水和することで、ナノポアタンパク質の新規リポソーム挿入法を開発した。円二色性スペクトルの測定や電気生理学的測定により、リポソームに挿入されたナノポアタンパク質の構造、及び分子輸送機能が保たれていることを確認した。また、ポアサイズの異なるナノポアタンパク質による細胞サイズリポソーム内へのカルシウムイオンの輸送量を比較したところ、ポアサイズの大きいナノポアタンパク質の方が効率的にカルシウムイオンを輸送することを明らかにした。したがって、今回開発したβバレル構造のナノポアタンパク質をリポソームに再構成する手法は、βバレルのナノポアタンパク質の機能評価やβバレルのナノポアタンパク質を用いたバイオロジカルセンサーの作製に利用可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
米国生物物理学会をはじめとして、国内外の学会で複数回発表を行った。また、βバレル構造膜タンパク質の新規リポソーム挿入法についてはACS Omegaに採択された。
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今後の研究の推進方策 |
より効率的な脂質膜内外の分子輸送を実現可能なナノポアタンパク質を構築する。そして、ナノポアタンパク質の複合体を形成することで、脂質膜間の分子輸送を実現させる。ナノポアタンパク質の構築が上手くいかない場合、タンパク質構造予測や、分子動力学シミュレーションを駆使し、より論理的にナノポアタンパク質の改変を行う。
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