研究課題/領域番号 |
23KJ0311
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小宮山 裕太郎 千葉大学, 融合理工学府, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2025年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2024年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2023年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 無線電力伝送 / 高周波回路 / 負荷非依存 / 位置ずれ / 負荷変動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、負荷変動及び位置ずれに対してロバスト性を持つ高周波無線電力伝送(WPT)システムを実現する。スマートフォンの「置くだけ充電」のように、WPTシステムは身近なものになりつつある。しかし、無線通信が登場したときのようなイノベーションを起こすまでの爆発力は感じられない。これは、無線給電におけるオープンプロブレムである「負荷変動」と「位置ずれ」への対応が未だ不十分なためである。本研究開発では、システム解析を通じ、負荷非依存インバータ、アクティブインピーダンス変換回路の具体的回路構成を検討する。システム解析および実機実験を通じ、設計の妥当性、提案システムの有効性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、負荷変動及び位置ずれの両方に対してロバスト性を持つ高周波 無線電力伝送(WPT) システムの設計開発を行う。本研究ではバッテリー交換が困難な場所にある IoT デバイスにドローンを用いて充電する高周波 WPT システムを設計開発 することを最終的な目標としている。 令和5年度は、初年度の研究課題としていた「負荷変動及びコイル間の位置ずれの両方にロバストな高周波 WPT システムの解析モデルの構築」に取り組んだ。解析モデル構築の段階ではあえて具体的な回路構成を指定せずに、所望のロバスト性を実現できる回路構成の条件の検討を行った。このようにすることで、最終的に実際のアプリケーションに回路を組み込む際に、さまざまな回路構成を選択できる柔軟性を持たせることが可能になる。 解析の結果、WPTシステムの送電回路として負荷非依存インバータ、受電回路として入力インピーダンスのリアクタンス成分が負荷に依存しない整流器及びポストレギュレータを備えることにより、負荷変動及び位置ずれの両方に対して出力レギュレーション及び高効率が同時に達成できることが明らかになった。さらに、送電器として負荷非依存EF級インバータ、受電器としてD級整流器及びバックコンバータを用いて6.78MHZの周波数において実機実験を行った。実機実験では、提案回路は負荷変動及びコイル間の位置ずれが生じても、所望出力を達成しつつ高い電力伝送効率を維持した。また、実験結果と解析の定量的な一致から、解析の妥当性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画時点での初年度の研究課題は「負荷変動及びコイル間の位置ずれの両方にロバストな高周波 WPT システムの解析モデルの構築」としていた。当初の予定通り、令和5年度は解析モデルの構築を行った。この研究成果は論文としてまとめており、IEEE Access誌に採録されている。対外的にも研究成果が認められており、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究ではバッテリー交換が困難な場所にある IoT デバイスにドローンを用いて充電する高周波 WPT システムを設計開発することを最終的な目標としている。そのため、バッテリー給電を想定したシステム構築が求められる。バッテリー給電では一定電流(CC)および一定電圧(CV)を組み合わせたCC/CV給電が使用される。一方で、昨年度構築した回路モデルではCCまたはCVの一方のみを可能としている。そのため、本年度は「バッテリーに充電するための CC、CV 両方の動作モードのシステム構築」を行う予定である。具体的には、昨年度構築した回路モデルをもとに、CC及びCVモードを切り替えることができる回路構成を検討する。回路解析及び実機実験を行うことによって動作検証及びシステムの有効性の確認を行う。
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