研究課題/領域番号 |
23KJ0362
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 侑李 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 抽象表現主義 / バーネット・ニューマン / マーク・ロスコ / ロバート・マザウェル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、抽象表現主義を代表する作家七名(ウィレム・デ・クーニング、リー・クラズナー、ノーマン・ルイス、ロバート・マザウェル、バーネット・ニューマン、マーク・ロスコ、クリフォード・スティル)に焦点をあて、1960年代の彼らの制作に見られる過去作品の反復的な利用について考察する。こうした制作モデルについて、自分たちの世代が歴史化されていくなかで、自らが開発した抽象表現を維持するとともに、更新せざるをえないという歴史意識に動機づけられていたという仮説の提示を試みる。こうした検証作業によって、抽象表現主義の1960年代について、歴史意識という視点から包括的な全体像を与えることが可能となる。
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研究実績の概要 |
本年度は、本研究が対象とする抽象表現主義の作家たちに関する文献リストを作成し、文献を収集した。これによって、対象作家たちに関するこれまでの主要な研究における議論の把握することに努めたが、まだ収集しきれていない資料や文献があるため、この作業は来年度も、具体的な作品調査と並行して継続していく。 上記と並行して、博士論文に基づいたバーネット・ニューマンに関する単著をするための作業を行なった。2023年の8月以降、美術系の出版社の編集者と打ち合わせを重ね、2024年の2月末には原稿のドラフトを編集者に提出した。現在は、改訂作業を継続するとともに、出版助成金の申請を準備中している。 2024年2月には、アメリカの三都市(ワシントン、ボストン、ニューヨーク)の美術館やアーカイヴスでの調査を行った。ワシントン・ナショナルギャラリーでは、マーク・ロスコの紙作品の展覧会において調査を行い、これまで未公開であった作品群や晩年における思考や制作プロセスについて理解を深めることができた。また、常設展示されていたニューマンの作品についても、同館のキュレーターと修復家から貴重な情報をいただくことができた。ハーバード美術館では、同館が所蔵するニューマンに関連する資料を調査することができた。ニューマン財団では所蔵するニューマン関連の資料を調査し、デドラス財団でも、ロバート・マザウェルの1960年代の作品と活動に関する資料を調査することができ、今後の研究を深化する上で貴重な調査となった。この調査で得られた知見は、今後学会発表や論文化していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、抽象表現主義や1960年代の美術に関する先行研究や本研究対象の作家たちの言説の精査を行い、これらの作家たちが有していた歴史意識を把握するとともに、それらが作品や制作手法との関連においてどのように論じられているのかを整理する予定であった。しかし、博士論文に基づいたニューマンの単著原稿のための作業によって、上記の整理がやや不十分になってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
ニューマンに関する単著原稿のドラフトは完成したため、今後は上記の作業に十分な時間を費やすことが期待できる。研究計画を変更するほどの問題ではないため、2023年度に行なっていた作業を引き続き継続し、早期における言説および先行研究の整理に努める。
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