研究課題/領域番号 |
23KJ0365
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
池邉 智基 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | セネガル / ウォロフ語 / 言語ナショナリズム / イスラーム / リテラシー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、現代のセネガル共和国において民族共通語のウォロフ語を文字化するという言語ナショナリズム運動が複数のアクターによって起きていることの文化的・社会的背景を分析するものである。セネガルでは基本的には教育や経済活動、政治参加には旧宗主国の言語フランス語が必須となる一方、民族を越えて広く話される話し言葉ウォロフ語がある。近年スマートフォンが爆発的に普及し、SNSなどでウォロフ語を書いて発信することが容易となった。その技術革新によって成立した、ウォロフ語の綴りや翻訳といった形式、および、政治や経済、イスラームなど複数の主題を、現代のウォロフ語リテラシーとして位置づけ、分析を行う。
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研究実績の概要 |
2023年度は、学会や研究会での発表と、8月から11月の約3ヶ月間の間にフィールド調査を行った。 研究発表としては、セネガルのイスラーム並びにリテラシーとオラリティについて、学会発表1回、研究会での発表1回、一般公開セミナー2回をそれぞれ行った。 フィールド調査では、(1)独立以降に作られた書記法で書かれたウォロフ語資料の収集と、(2)ウォロフ語まず(1)資料収集に関しては、セネガル公文書館やシェーフ・アンタ・ジョップ大学黒アフリカ基礎研究所(IFAN)、その他各種書店で、セネガルの現地語を対象とした政策文書や、現地語テキストの収集を行った。セネガル公文書館では言語政策等に関して所蔵されている資料は部分的なものに限られていた。また、シェーフ・アンタ・ジョップ大学については、大統領選挙が間近に迫っていることから前年より相次ぐ学生のデモを受けて大学が閉鎖されており、IFANの資料室も同様に閉まっていた。こうした状況で当初予定していた資料調査が進められなかったものの、IFAN書籍部やダカール市内の書店などでは、ウォロフ語で書かれた出版物として、開発プロジェクトの資金で1990年代から生産されてきたウォロフ語詩、2000年代前後にイスラーム教団やキリスト教会が布教のために制作した配布用ウォロフ語資料、そして、2010年代より増加しつつあるウォロフ語の小規模商業出版物を収集した。 次に(2)ウォロフ語筆記の勉強会やテキストの利用についての聞き取り調査では、セネガル国内で社会的・経済的影響力を持つイスラーム神秘主義教団であるムリッド教団の作家コミュニティへのアプローチを果たし、発起人らを中心に聞き取り調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、セネガルで大統領選を控えていたこともあり、研究計画として当初予定していたものとは大きく異なる部分もあったものの、聞き取りと資料調査からウォロフ語リテラシーを構成する資料群や団体についての大きな見取り図を把握することができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、引き続きウォロフ語資料と、作家コミュニティの活動に関する聞き取り調査に力をいれ、データの整理を進める。その上で論点をまとめ、具体的な研究成果として論文執筆を進めていく予定である。
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