研究課題/領域番号 |
23KJ0373
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
安藤 克真 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2024年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2023年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 学術政策 / 大学 / アカデミー / 高等教育 |
研究開始時の研究の概要 |
アカデミズムを制度に基づく本格的な学問研究と定義するとき、近代日本のアカデミズムは日露戦後に始まる広義大正デモクラシー期に確立した。本研究では、帝国大学・東京学士会院という2つの官立学問機関に注目し、両機関と議会・政府との関係が安定に向かう過程を分析することで、アカデミズムの確立過程を制度史の観点から描出する。その際に、学問の変容が帝国大学・東京学士会院の性格を変化させる過程をあわせて検討することで、アカデミズムの確立過程において学問それ自体が果たした役割についても明らかにする。
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研究実績の概要 |
採用初年度にあたる本年度は、19世紀末から20世紀初頭にかけての東京帝国大学の変容について研究した。 第一に、「交付申請書」の研究実施計画に基づき、東京帝国大学内の少壮教授がいかなる大学構想に基づいて大学改革を主導したかを分析した。研究実施計画では本年度に学会報告を行う予定であったが、すでに昨年度に史学会大会で報告する機会を得たため、本年度はそこでの議論を踏まえて更なる調査を進めることに主眼を置き、東京大学に情報公開を請求するとともに、東京大学文書館で史料調査を行った。これまでの調査から、学校系統改革論の隆盛・京都帝国大学の創設を背景に、戸水寛人ら若手教官が学科課程改正を通じて大学の研究機関化を唱えたこと、彼らの大学構想が日露戦後に実現したことが明らかになっており、この成果は来年度中に論文化する予定である。 第二に、「交付申請書」の研究実施計画では政府による学知の活用とその影響として、東京帝国大学・東京学士会院に対する文部省の諮問について研究する予定であったが、上記の研究を進める中で学制改革問題の重要性に気づき、この問題に対する東京帝国大学教官の対応について研究した。これにより、従来学制改革に強硬に反対したとされる元老教官の中にも学制改革に協力的な論者がいたこと(三宅秀など)、若手教官は積極的に学制改革問題に取り組んだこと(戸水寛人など)を明らかにした。ただし、本年度は東京大学文書館・国立国会図書館で調査を行ったものの、個人史料の調査を十分に行えなかったので、論文の投稿は来年度を予定している。 第三に、「交付申請書」の研究実施計画では来年度に行う予定だった東京学士会院・帝国大学の国際学会の参加とその影響について、東京大学文書館・京都大学大学文書館で史料調査を行なった。この点については研究実施計画上来年度の論文投稿を予定しているので、引き続き調査を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一に、「交付申請書」の研究実施計画では帝国大学・東京学士会院に対する文部省の諮問について研究する予定であったが、上述の通り研究を進める中で研究計画を変更した。 第二に、「交付申請書」の研究実施計画では帝国大学・東京学士会院における学者集団の世代交代とその影響について研究する予定であったが、帝国大学については当初の予定通り学会報告まで完了したものの、史料調査に時間を要したため論文投稿は翌年度に持ち越しとなった。また、東京学士会院については研究を進めたものの、有意な影響は看取されなかった。 第三に、「交付申請書」の研究実施計画では来年度に行う予定だった東京学士会院・帝国大学の国際学会の参加とその影響について史料調査を先行して実施することができた。 以上から、本年度に論文投稿・学会報告を行うことはできなかったものの、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は以下の3点を研究課題として設定する。 ①学校系統問題をめぐる東京帝国大学教官の対応についての論文投稿 ②学者集団の世代交代が東京帝国大学に与えた影響についての論文投稿 ③東京学士会院・帝国大学の国際学会の参加とその影響についての更なる調査・論文投稿 上記の研究課題遂行のために、引き続き各地の所蔵機関で史料調査を行う予定である。
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