研究課題/領域番号 |
23KJ0376
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分27030:触媒プロセスおよび資源化学プロセス関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
和知 慶樹 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
900千円 (直接経費: 900千円)
2023年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
|
キーワード | メタン酸化 / ホルムアルデヒド / 担持触媒 / 酸化鉄サブナノクラスター / ポリオキソメタレート / 高圧メタン / 酸化カップリング |
研究開始時の研究の概要 |
天然ガスの主成分であるメタンをメタノールやホルムアルデヒドなどの有用化合物へと直接転換する固体触媒の開発を目指す。本研究では分子状の酸化物クラスターであるポリオキソメタレート (POM) に着目し、精密な金属多核構造を内包するPOMを触媒前駆体とすることで高温でも熱安定な酸化物サブナノクラスター触媒の開発を行う。さらに前駆体の構造の違いによる生成物分布の変化を比較することで二酸化炭素への逐次酸化が抑制されるメカニズムを解明する。また金属多核構造を内包するPOMを前駆体とすることで高圧条件下で選択的なメタノール合成を行い、その活性種やメカニズムについても明らかにする。
|
研究実績の概要 |
メタンと酸素からメタノールやホルムアルデヒド、エタン、エチレンなど有用化合物を選択的に直接合成する触媒反応系開発に取り組んだ。本研究では高いメタン転化率と生成物選択率を同時に実現するために、高温低圧 (600 ℃, 常圧) および低温高圧 (400 ℃, 6 MPa) の二つの反応条件で固体触媒を開発した。 高温低圧条件では担持酸化鉄サブナノクラスター触媒に着目し、多核鉄クラスターを内包するポリオキソメタレート (POM) を前駆体とした触媒が、ホルムアルデヒドを選択的に生成することを見出した。またPOMを構成する酸化タングステンが酸化鉄クラスターの凝集を抑制することで高い熱安定性を実現していることを明らかにした。さらにラマン分析やX線微細構造解析をはじめとする多様な分析手段を用いて、POM前駆体がメタン酸化活性に与える影響およびシリカ担体が高いホルムアルデヒド選択率を示す機構を明らかにした。本研究成果に関して、Catalysis Science & Technology誌に論文が受理された。 また低温高圧条件では、タングステン酸ナトリウムをシリカ上に担持した触媒でメタンの酸化カップリング (OCM) が効率的に進行し、メタン転化率8.8%においてC2またはC3炭化水素が選択率44%で得られることを見出した。また反応条件や触媒層温度に関する検討を行ったところ、本反応系は気相でメタンが活性化され、触媒によって選択率が制御される新しい反応系であることが示された。さらに触媒は触媒層温度の上昇とメタノールから炭化水素への選択率制御の二つの役割を持つことを明らかにした。本研究成果に関して、Journal of the Japan Petroleum Institute誌に論文が受理された。
|