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近縁種比較によるネムリユスリカの乾燥適応に関する遺伝子調節ネットワークの解明

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ0408
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金
応募区分国内
審査区分 小区分39050:昆虫科学関連
研究機関東京大学

研究代表者

中西 瑛太  東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
キーワードネムリユスリカ / 乾燥耐性 / microRNA / の遺伝子調節ネットワーク
研究開始時の研究の概要

ネムリユスリカは体内の含水率が低下すると遺伝子発現量や代謝物量が大きく変動し、無代謝休眠状態に移行することで乾燥耐性をもつ。本研究では、ネムリユスリカと乾燥耐性をもたない近縁種ユスリカの生物ネットワークを比較することで、進化の過程で獲得した乾燥耐性に関連する遺伝子調節ネットワークを明らかにする。この研究で明らかになったネットワークを他の動物細胞に導入することで、エネルギーフリーな生物資源の常温乾燥保存技術の創出が期待できる。

研究実績の概要

本研究の目的は、極限的な乾燥に耐性を持つ昆虫ネムリユスリカの、転写因子-mRNA-microRNAの遺伝子調節ネットワーク(GRN)を推定し、さらに近縁種との比較によって、乾燥耐性に特異的なGRNを特定することである。
本研究を遂行するにあたり、受け入れ研究室で初めてmicroRNAの抽出などの実験・生命情報解析を行うため、様々な条件検討が必要だった。昆虫で本実験を行う前に培養細胞を用いた条件検討を行うことで、昆虫のデータで特有の発生ステージや個体差によるばらつきを考慮しなくても良いため、条件検討の評価をしやすくなる。従って、ネムリユスリカと同様に乾燥耐性を持つネムリユスリカ由来のPv11細胞を用いて、実験条件の評価や遺伝子発現解析を行った。まず、乾燥再水和過程5条件のPv11細胞から、RNAの抽出と評価を行った。乾燥再水和過程からRNAの分解がほぼなくRNAを抽出できた。さらにmicroRNAシーケンスを行い、microRNAの同定と遺伝子発現量のカウントを行った。遺伝子発現量の主成分分析により、各条件で発現量の類似性が高く、サンプル調製が正確に行えていることが評価できた。また、乾燥再水和過程で発現変動するmicroRNAの一つは、ネムリユスリカの乾燥耐性に重要と推定されるゲノム上の領域(Anhydrobiosis Related Islands: ARIds)から発現しており、ショウジョウバエなどの近縁種間で保存されていないmicroRNAであることが示唆された。さらには、乾燥耐性に重要と言われているLIL6と呼ばれる膜貫通タンパク質と共に転写されるmirtronであり、非常に興味深い結果が得られた。
また、ネムリユスリカとの比較に用いる乾燥耐性を持たない近縁種ヤモンユスリカを研究室に受けいれて、飼育継代を行なっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

Pv11細胞のシーケンスデータの解析や評価は順調に進んでいる。
令和5年度終了時までに、ネムリユスリカと近縁種のユスリカのシーケンスを行う予定だったが、ヤモンユスリカが自然環境から採集できなかったため進捗が遅れた。バックアッププランとして、他の研究機関の研究者が所有する系統を研究室に受け入れしたため、問題なく研究を推進することはできる。
また、microRNAはmRNAの3’非翻訳領域に結合して、分解することで遺伝子の発現を制御する。従って、mRNAの3’非翻訳領域を決定する必要があったが、その決定に難航したため転写因子-mRNA-microRNAのGRNの推定の進捗が遅れている。

今後の研究の推進方策

主に、継続的なユスリカの飼育、ネムリユスリカおよびヤモンユスリカ虫体の遺伝子発現解析のためのRNAシーケンスおよびその評価を行う。また、令和5年度に作成済みの解析パイプラインを使用した基本的なmiRNAの遺伝子発現解析と令和6年度から行うGRN解析を行い、研究を推進する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-26   更新日: 2024-12-25  

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