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原核生物におけるAUAコドン解読の分子基盤

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ0409
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金
応募区分国内
審査区分 小区分43010:分子生物学関連
研究機関東京大学

研究代表者

秋山 奈穂  東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
キーワードtRNA / RNA修飾 / 翻訳 / 遺伝暗号 / 構造解析
研究開始時の研究の概要

tRNAのアンチコドン1字目(34位)には様々な転写後修飾が施され、mRNA上のコドンの適確な読み分けに寄与する。原核生物はAUAコドンを専門に解読するtRNAIle2を持ち、その34位には生物種によって様々な修飾塩基が見られる。本研究では、これらのバラエティーに富んだtRNA34位修飾が正確かつ効率的なAUAコドンの読み取りを可能にする仕組みを明らかにする。特にtRNAがリボソーム上でコドンを認識する場面に注目し、コドン-アンチコドン領域周辺のmRNAやrRNAの関与を調べることで、tRNA修飾の新たな機能実証を目指す。

研究実績の概要

本研究では、tRNAアンチコドン修飾が関与する原核生物でのAUA コドン解読の分子機構を明らかにする。これまでの成果により、アンチコドン1字目のシチジン修飾(C*34)側鎖は、周囲のmRNAやrRNAと相互作用を生じることでtRNAIle2によるAUA コドンの解読効率に寄与する可能性が示唆された。C*34 側鎖とmRNA間の相互作用の重要性を詳しく検証するため、まず合成mRNA を用いた翻訳効率の測定を試みた。C*34 側鎖とmRNA間に形成される水素結合を変化させるため、官能基置換を加えた化学合成mRNAの無細胞翻訳系を最適化した。その際、レポータータグ配列を翻訳させ、生物発光シグナルを定量することで翻訳量の変化を検出した。その結果、官能基置換を行うと翻訳量が減少したが、この変化はテストコドンがAUA以外の場合も観察された。これはmRNAの官能基置換がAUAテストコドン以外のコドン解読に大きく影響することが原因であると考えられる。次に、C*34とmRNAの相互作用の影響を調べるため、C*34側鎖近傍の16S rRNA残基の変異による翻訳活性の変化を観察することを試みた。まず、ゲノムからrRNAオペロンを完全欠損させた大腸菌株に変異16S rRNAをプラスミド相補することによって、リボソーム変異株の作成に成功した。作成したリボソーム変異株に対し、さらにanti-SD配列の変異を加えて、相補的な改変SD配列を有するレポーター遺伝子のみを翻訳させる直交翻訳系の確立を試みた。残念ながら、レポーター上のAUAコドンの数と翻訳量に相関はみられなかった。原因として、直交性の低さによるバックグラウンド翻訳量の多さが挙げられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

これまでC*34とmRNA/rRNA間の相互作用については、非酵素的なtRNA結合アッセイでのみ検証されてきた。そこで今年度は、無細胞翻訳系や直交翻訳系を用いて実際の翻訳過程における検証を試みた。その結果、rRNA変異体の作成や系の最適化を進めることができたが、AUAコドン特異的な翻訳の変化を捉えるには至らなかったため。

今後の研究の推進方策

今年度は、現時点での成果をまとめ論文投稿に至ったこと、新たに発見されたシチジン修飾の機能解析を進められたこと等から当初予定していた研究計画通りではないもののAUAコドン解読の分子機構解明に向けて一定の成果があった。来年度は、特に直交翻訳系についてanti-SD配列の最適化を行うなどして改善を進めつつ、主に新規シチジン修飾のキャラクタリゼーションを進める方向で計画を変更・発展させたいと考えている。具体的には、構造解析や非酵素的なtRNA結合アッセイにより新規シチジン修飾についても周囲のmRNA/rRNAとの相互作用の有無などを調べ、C*34の化学構造とAUA解読機構の関連をより詳しく明らかにしていきたい。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Structural insights into the decoding capability of isoleucine tRNAs with lysidine and agmatidine2024

    • 著者名/発表者名
      Naho Akiyama, Kensuke Ishiguro, Takeshi Yokoyama, Kenjyo Miyauchi, Asuteka Nagao, Mikako Shirouzu, Tsutomu Suzuki
    • 雑誌名

      Nature Structural & Molecular Biology

      巻: - 号: 5 ページ: 817-825

    • DOI

      10.1038/s41594-024-01238-1

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Structural insights into the decoding capability conferred by tRNA hypermodifications2023

    • 著者名/発表者名
      Naho Akiyama, Kensuke Ishiguro, Takeshi Yokoyama, Kenjyo Miyauchi, Asuteka Nagao, Mikako Shirouzu, Tsutomu Suzuki
    • 学会等名
      RNA 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Structural insights into the decoding capability conferred by tRNA hypermodifications2023

    • 著者名/発表者名
      Naho Akiyama, Kensuke Ishiguro, Takeshi Yokoyama, Kenjyo Miyauchi, Asuteka Nagao, Mikako Shirouzu, Tsutomu Suzuki
    • 学会等名
      第24回日本RNA学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Structural insights into the decoding capability of isoleucine tRNAs with cytidine modification2023

    • 著者名/発表者名
      Naho Akiyama, Kensuke Ishiguro, Takeshi Yokoyama, Kenjyo Miyauchi, Asuteka Nagao, Mikako Shirouzu, Tsutomu Suzuki
    • 学会等名
      第61回日本生物物理学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2023-04-26   更新日: 2024-12-25  

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