研究課題/領域番号 |
23KJ0422
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
瑞穂 嵩人 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | バーチャルリアリティ / エピソード記憶 / 環境的文脈依存性 / アバタ / プレゼンス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、バーチャルリアリティ(VR)体験における記憶の特性を解明し、現実を超える記憶支援手法を実現することを目指す。例えば母校を訪れると当時の思い出が洪水のように溢れ出る現象のように、記憶は周辺環境情報(場所、音、匂い、感情など)の影響を受ける(環境的文脈依存性)。周辺環境情報を自在に変化できるVR技術を用いて、VRとリアル間の行き来が記憶に与える効果や、多彩なVR環境で学習することによる記憶定着効果などを検証する。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、バーチャルリアリティ (VR) 体験における記憶の文脈依存性の特性を解明し、現実を超える記憶支援手法を実現することである。本年度は、(1) 外国語学習におけるバーチャル環境の切り替えが記憶に与える影響、(2) 遠隔講義における他者アバタの切り替えが記憶に与える影響、(3) 手話学習における自己アバタの切り替えが記憶に与える影響の3つの研究を実施した。いずれもVR技術を活用した新しい記憶支援のアプローチを提案しており、興味深い成果が得られている。(1) では、実写360度動画を用いた高写実度のバーチャル環境を使用し、あたかも多様な場所へ行ったかのような体験を与えながら単語リストを学習させると、有意な記憶定着効果が得られることが示唆された。(2) では、遠隔講義における講師の外見を多様なキャラクターに変化させながら講義をすると、講義直後の記憶成績が向上することが示唆された。(3) では、自己身体を多様な外見に変化させながら手話を学習させると、1週間後の記憶保持が有意に向上することが示唆された。(1) と (3) については、VR分野のトップジャーナルであるIEEE TVCGに投稿し、現在査読を受けている。(2) については、国内の論文誌である日本バーチャルリアリティ学会論文誌への採録が決定している。このように、本年度は新たな調査・実験と、成果の公表の両面から研究を推進することが出来た。今後は、これまでに明らかとなったバーチャル環境、他者、自己身体が記憶に与える影響を踏まえ、それらの特性をさらに精緻に解明することに努めるとともに、俯瞰的に成果を取りまとめていくことにも注力する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に比べて、研究アプローチの軽微な変更はあったものの、バーチャル環境、他者、自己身体といった複数の要因の影響を調査し、VR体験における記憶の文脈依存性の解明に貢献することが出来た。研究成果の公表についても、現在までに採択が決定しているものはあまり多くないが、積極的な投稿を心がけ、着実なアウトプットに結びつけている。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は、バーチャル環境、他者、自己身体が記憶に与える影響を調査した。今後は、これらの個別の成果を踏まえて、俯瞰的・体系的な整理を目指した調査・実験を実施することを計画している。
|