研究課題/領域番号 |
23KJ0518
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
園山 樹 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 光量子情報処理 / 光子数識別器 / 光量子状態 / 非ガウス型状態 / ホモダイン測定 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、新しい光量子計算の形としてパルス・連続光ハイブリット型を提案しそれを実証するものである。光量子計算機は計算を実行する量子プロセッサと入力状態や誤り訂正を行うための補助状態等を用意する量子状態生成器の2つから構成される。近年我々の研究により量子プロセッサは連続光源を、量子状態生成器はパルス光源を用いた方が高性能となるだろうことが明らかになった。本研究ではパルス光を用いて非古典的な量子状態生成を行い、連続光を用いてそれらに対して量子状態操作を行うことを目標にしている。具体的には原理実証として最も単純な量子操作である量子テレポーテーションを実現する。
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研究実績の概要 |
本研究では光量子計算の新しい方式である連続光・パルス光ハイブリッド量子情報処理を提案し、その実証を目指している。光量子計算機は入力・補助状態を作る光量子状態生成器と演算を行う光量子プロセッサから構成されているが、ハイブリッド方式では光量子状態生成器において非線形光学効果が強く有利であるとされるパルス光を、光量子プロセッサにおいて干渉効率が高く有利であるとされる連続光を用いる。ハイブリッド方式の実現に向けて昨年度は以下の2つの研究を進めた。 1. パルス光を用いた量子状態生成・状態検証に成功 ピコ秒パルス光源を用いて、非古典的な量子状態の例としてよく知られる単一光子状態・二光子状態の生成に成功した。そして非古典性の指標であるウィグナー関数の負値をそれぞれの量子状態に対して実験的に確認した。ここで本研究では従来のパルス光を用いた量子状態生成と異なり、近年我々が研究開発を進める高速光子数識別測定器SNSPDを用いた。SNSPDは他の光子数識別器に比べて時間分解能が100倍程度高く、そのため高速な量子状態生成に応用可能であると期待される。 2. パルス光単一光子状態のCW光ホモダイン測定に成功(初の連続光・パルス光ハイブリッド量子情報処理の実証) 1で生成したパルス光単一光子状態を連続光のローカルオシレータ光と干渉させることで新しいハイブリッド式のホモダイン測定を行った。その結果非古典性の指標であるウィグナー関数の負値を観測することに成功し、新方式の連続光・パルス光ハイブリッドホモダイン測定が非古典的な量子状態の測定にも用いることができると実証した。この結果は世界で初めての連続光・パルス光ハイブリッド量子情報処理の実証という大きな意味を持つ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1年目では主にパルス光を用いた非古典性の高い量子状態の生成を行う予定であり、その目標はクリアしている。またそれに加え、新方式の連続光パルス光ハイブリッド型ホモダイン測定に成功したため、当初の計画以上に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は連続光・パルス光ハイブリッド量子情報処理の基礎技術を完成させるため、現状できているハイブリッド型の量子測定に加えハイブリッド型の量子操作を実現させる。具体的にはパルス光で生成した非古典性の高い光量子状態を連続光で生成したスクイーズド光と干渉させ、ユニバーサルスクイーザーと呼ばれる基本となる量子操作を実証する。
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