研究課題/領域番号 |
23KJ0539
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三浦 匠 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | π共役 / ポリアセン / 多孔性金属錯体 / 高分子 / ナノ空間 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、多孔性金属錯体(MOF)を利用することで今までに合成されたことのないπ共役材料の合成および物性解明を目的とする。グラフェンの一部を切り取った構造を有するナノグラフェンは、その構造に応じて異なる電導性、磁性を発現することが予想されているがその多くは未だ合成されていない。本研究では、MOFの細孔内で小さいナノグラフェンを重合し、互いに連結させていくことで溶解性の低い置換基のない大きなナノグラフェンへと成長させる。さらに、MOFの細孔形状や次元性を変化させることでその物性のチューニング・解明を行い、炭素材料の形状と諸物性の関連を実験的に明らかとする。
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研究実績の概要 |
今年度は主に「MOF内重合法」によって新奇π共役材料の創製に取り組んだ。 (1)ベンゼン環が1次元状に無数に連なったポリアセンは、ジグザグ部位へのスピン局在に由来する反強磁性や高温超伝導の発現が理論予想され、学術面・材料応用面の両面から合成が大きく期待される。しかしベンゼン環の増加に従い溶液中で不安定化するため、ベンゼン環13個のアセンが最長であった。これまでに、多孔性金属錯体(MOF) が有するデザイン性の高いナノ空間を用いることで、位置選択的な重合によってポリアセンの前駆体高分子を合成していた。本年度は、前駆体高分子を加熱することでポリアセンの合成に成功した。得られたポリアセンは従来の最長記録を大幅に上回る平均19個のベンゼン環からなることが分かった。得られたポリアセンは予想外に大気中でも安定であったため、バルク量のサンプルを用いて電気・磁気特性の測定を行い、物性を明らかにしていく。 (2)MOF内重合法を二次元MOFに適用することで、特異な幾何学構造を有するπ共役ナノシート創製へ展開を試みた。2次元ネットワークはその幾何学構造によって磁性や電導性が変化することが知られている。物性理論家との共同研究により、コロネンを重合してできる2 次元ネットワークはエネルギーが波数に依存しないフラットバンドを有する材料となることを見出した。そこで、コロネンを高い熱安定性を有する2次元層状MOF内部で重合したところ、単原子厚のナノシート構造の形成がAFM測定により明らかとなった。詳細な分光測定によって、生成物はコロネン同士が1本の結合で繋がっていると推定された。そこで、分子内脱水素芳香化反応であるScholl反応の条件にMOF内の生成物を付したところ、二本目の結合の生成によって、共役したナノシート形成が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MOF内重合法によるポリアセン及び2次元ネットワークの合成に成功したため。今年度の研究計画としていたポリアセンの物性評価はまだ検討段階ではあるが、バルク量のサンプルを準備できた。また、来年度に実施予定であった2次元ネットワークへの展開を先行して行い、重合反応の進行を確認できたため。
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今後の研究の推進方策 |
生成したポリアセン分子の電導度・磁性測定によってその物性を明らかとする。また、分子構造だけでなくその集まり方によっても物性は大きく変化する。そこでMOFをポリアセン集積の舞台とし、伝導度・磁性測定によって集積状態による物性の違いを明らかとする。計算科学からの予測も行い、MOFへのキラリティの導入や細孔サイズ変化などによってポリアセン鎖のコンフォメーションや本数を変化させ、スピン輸送などの新たな特性の付与や物性変調を狙う。 2次元ネットワークについては、得られた材料のさらなる構造解析を行い、物性測定に繋げていく。
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