研究課題/領域番号 |
23KJ0563
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤岡 昌汰 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 高フッ素官能基 / 触媒サイクル / 有機フッ素化合物 / アルキル塩化物 |
研究開始時の研究の概要 |
パーフルオロアルコキシ(RFO)基は、その多フッ素構造による特異な性質から、機能性材料や新規医農薬の構造ユニットとしての応用が期待されていますが、RFO 基導入のための有機合成化学は極めて未開拓です。本研究では「高活性な RFO 種の系中発生と利用」「安定な RFO 錯体の単離と利用」を基本戦略に、(1) RFO アニオン種の触媒的活性化による効率的な sp3 炭素への求核置換反応、(2) 遷移金属カチオンやキラルカチオンを活用した位置・立体選択性の発現と制御、(3)付加脱離反応、あるいは遷移金属触媒を用いたクロスカップリング反応による sp2 炭素への RFO 基導入反応、の実現に挑みます。
|
研究実績の概要 |
パーフルオロアルコキシ(RFO)基は、炭化水素のすべての水素原子がフッ素原子に置き換わったパーフルオロアルキル部位と、その根元の酸素原子から構成される化学ユニットである。その多フッ素構造がもたらす特異な性質と、CF3O 基様の静電的性質を併せ持つことが想定され、機能性材料や新規医農薬の構造ユニットとしての応用が期待されているが、RFO 基導入のための有機合成化学は極めて未開拓であった。 本研究では「高活性な RFO 種の系中発生と利用」「安定な RFO 錯体の単離と利用」を基本戦略に、未知な RFO の化学に切り込んできた。 私は今年度までに、CsI 触媒を用いた RFO アニオン種と求電子種の同時活性化により、安価なアルキル塩化物を出発物として、生理活性物質への RFO 基導入や、複数点同時 RFO 化による超多フッ素構造へのアクセスを含む、官能基許容性に富んだ様々な基質の RFO 化反応が可能なことを見出した。さらに、 RF ユニットの構造多様性を大幅に拡張したほか、末端 RFヨウ素結合のクロスカップリング反応への展開など、RFO 化合物の多様な後期修飾への応用可能性を広く探索した。 また、これまで報告例の無い sp2 炭素への RFO 基導入反応に向けて、遷移金属種、特にアリール-パラジウム種との金属交換反応による [Ar-Pd-RFO] 種を合成したほか、続く還元的脱離反応の進行可能性に関して、実験化学的手法と計算化学的手法を併用して精査しました。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回、新規触媒系の開発と精密設計により、多様な RFO 化合物の合成に成功したため。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの合成戦略と並行し、「酸素-RF 基の結合生成法の探索」という新たな 戦略を立案し、現在重要な合成中間体を高収率にて得ることに成功している。 今後は、得られた中間体から、sp2 炭素に RFO 基が導入された最終生成物に導き、また本反応の適用範囲を幅広く精査することで、未踏の化学空間の開拓に取り組んでいく。
|