研究課題/領域番号 |
23KJ0575
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西口 智也 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2024年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2023年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 進化生物学 / 系統比較法 / 分子収斂 |
研究開始時の研究の概要 |
系統比較法は、多様な進化過程を経た生物の系統樹と形質データを用いることで、その進化の背後にあるパターンを捉えることを可能にする手法である。この手法は、理論上、より多くの生物種を対象とすればするほど、より多くの進化パターンを発見することができる。一方で、多くの生物種を含む系統樹の推定には不確実性が生じ、系統樹の不確実性が系統比較法の解析に悪影響をもたらすことが予想される。そこで本研究では、系統樹不確定性を考慮した系統比較法を開発することを目指す。
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研究実績の概要 |
ある系統間に似た選択圧がかかっている場合、関連する遺伝子に共通の変異が入ることがある。したがって、分子収斂を検出することで、系統間に共通する選択圧を明らかにすることができる可能性がある。 本研究では、系統樹推定の誤りに頑健な手法で分子収斂の検出を行うとともに、機能エンリッチメント解析を利用した検定方法と組み合わせることによって、どの機能の遺伝子に分子収斂が入りやすいかを検出するフレームワークを実装した。また、形質の祖先状態推定とも組み合わせることによって、ある形質進化が起こった時にどの機能の遺伝子に分子収斂が起こりやすいかを検出する枠組みを実装した。 次に、このフレームワークをゲノム配列が利用可能な有胎盤類87科に応用した。その結果、分子収斂が最も多く検出されたのは膜輸送関連遺伝子であり、その次に多く検出されたのは消化器系関連遺伝子であった。また、草食性・肉食性・雑食性のうち、同じ食性への進化が起こった場合は、異なる食性への進化が起こった場合と比較して、消化器系関連遺伝子のみに分子収斂が有意に多く検出された。さらに、消化器系関連遺伝子の分子収斂が最も多く検出されたのは、同じ食性への進化の中でも草食性への進化が起こった時であった。 以上の成果について、日本進化学会年大会第25回沖縄大会において口頭発表を行った。現在はフレームワークの改良を行うとともに、国際誌への投稿に向けて準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ある形質進化が起こった時にどのような機能の遺伝子に分子収斂が起こりやすいかを検出するフレームワークを実装することができた。さらに、このフレームワークを有胎盤類87科に応用することで、食性のシフトが起こった時に分子収斂しやすい遺伝子の特徴を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
系統樹推定の誤りだけでなく、祖先状態推定の曖昧性を考慮した上で、解析結果を再評価する。また、成果を投稿論文としてまとめ、国際誌への掲載に向けて準備を進める。
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