研究課題
特別研究員奨励費
Tumor microenvironment (TME) is essential for tumor progression. Understanding the environmental factors and cellular interactions inside TME is crutial for developing effective cancer therapy. Using integrated multi-omic analysis, we aim to elucidate how environmental factors activate cancer-associated fibroblasts (CAFs), as well as how metabolic crosstalks between cells shape pro-tumorigenic immunity in TME. Finally, based on the above results we are going to explore novel targeted therapeutic strategy to cure hard-to-treat fibrotic cancers.
がん関連繊維芽細胞による腫瘍内の代謝変動の解析を継続中である。癌細胞とがん関連繊維芽細胞の共移植により腫瘍形成速度の有意な増加を確認できた他、腫瘍促進性の免疫細胞の浸潤も促進された。また、腫瘍由来のトランスクリプトーム解析をもとに、腫瘍関連マクロファージや細胞障害性T細胞の抑制に関する免疫応答が亢進している事を明らかにした。さらに、腫瘍内の代謝物をメタボローム網羅解析した結果、プリンヌクレオチド代謝経路の関連代謝物とイタコン酸が癌細胞とがん関連繊維芽細胞の共移植によって上昇する事を発見した。近年、プリンヌクレオチド代謝物とイタコン酸は抗腫瘍免疫応答を抑制する働きが報告され、がん関連繊維芽細胞がもたらす腫瘍微小環境への変化はそれらの代謝物が寄与している可能性を見出した。イタコン酸代謝経路の阻害によって、腫瘍促進性の免疫反応を抑制すると共に腫瘍形成の速度が顕著に低下した。以上の結果から、がん関連繊維芽細胞は代謝物を介して腫瘍微小環境を制御することを発見し、現在論文投稿中である。また、腫瘍微小環境における低酸素環境が単球系免疫細胞の脂質代謝をオルガネラレベルで制御し、腫瘍促進性免疫反応を活性化する事を見出した。この研究成果を2023年の10月にThe EMBO Journalで発表した。
2: おおむね順調に進展している
研究計画書の通り順調に進展している。本年度までに申請者は癌細胞とがん関連繊維芽細胞の共移植実験系を確立し、網羅的遺伝子発現や代謝物解析によりがん関連繊維芽細胞の腫瘍促進メカニズムの同定を成功させた。また、その代謝経路を阻害する事で腫瘍の形成を抑制でき、新たながん治療のターゲットの可能性を見出した。論文の作成及び投稿も順調に進展しており、本年度に公表予定である。
本年度の研究で行われたトランスクリプトーム解析により、子宮頸がんと膵癌でがん関連繊維芽細胞の腫瘍促進性メカニズムが異なるが示唆された。今後、異なる癌腫でがん関連繊維芽細胞の機能と活性化のメカニズムについて探索する。また、腫瘍内の代謝物をメタボローム網羅解析した結果、プリンヌクレオチド代謝経路の関連代謝物とイタコン酸が癌細胞とがん関連繊維芽細胞の共移植によって上昇する事を発見した。今後、イタコン酸の性質及び腫瘍促進性免疫細胞におけるイタコン酸の役割を解明していきたい。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
The EMBO Journal
巻: 42 号: 22 ページ: 15252-15252
10.15252/embj.2023114032
PNAS Nexus
巻: 10 号: 10 ページ: 1093-1093
10.1093/pnasnexus/pgad306
Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - General Subjects
巻: 1867 号: 5 ページ: 130330-130330
10.1016/j.bbagen.2023.130330
Cancer Science
巻: 114 号: 4 ページ: 1200-1207
10.1111/cas.15722