研究課題/領域番号 |
23KJ0643
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
犬塚 悠剛 東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 定量位相顕微鏡 / イメージング / 無染色観察 / 幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞内の特定の構造や分子を標識して観察できる蛍光顕微鏡法は、生きた細胞の観察に広く用いられている。しかし、蛍光標識が細胞の生理機能に影響を与えることや、強い照明に毒性があることなど、いくつかの制約がある。特に、初期胚の細胞や多能性幹細胞はこれらの蛍光観察による毒性に敏感であり、臨床や再生医療への応用での課題が残されている。本研究では、標識が不要で光毒性の少ない定量位相顕微鏡を細胞の状態把握へ応用する。
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研究実績の概要 |
本年度は、高速・高解像度・高感度の定量位相顕微鏡(quantitative phase microscope / QPM)を実装した。これを用いて、生きた細胞を経時的に観察する系を確立した。また、細胞の状態を推定する手法も発展させた。 QPMの中で最も長い歴史を持つ干渉計を用いた手法は、感度良く位相差を測定できる一方、外乱の影響にも敏感であり、実際の生物学実験で用いるのは容易ではない。そこで、干渉計を用いない明視野観察で得られた画像から光伝搬を逆算することで位相差を求める計算位相顕微鏡(computational phase microscope / CPM)も開発され、頑健な実装も可能となった。しかし、忠実な位相分布を回復するためには複数条件で撮影された画像が必要となり、CPMの時間分解能には制限が存在していた。 我々はこのCPMの弱点に着目し、光学系の工夫と計算手法の最適化によって、高速・高解像度・高感度化を実現した。さらに、市販の顕微鏡に対して位相差顕微鏡や微分干渉顕微鏡と同等に簡便な拡張によって実装可能なセットアップとなるよう工夫した。実験対象に応じて市販の顕微鏡で使いたい蛍光観察を同じ視野で撮影することが可能である。また、幹細胞を観察する際に重要な、光毒性が小さいことも確認した。 データ取得後の細胞の状態把握システムの開発についても、CPM画像から連続的な細胞周期を推定するシステムを開発した。このシステムで用いているニューラルネットワークの学習過程を工夫することで精度も向上させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、定量位相顕微鏡と解析技術の開発が進展し、原理検証を完了できた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに原理検証した結果についてもまとめつつ、当初の計画を達成できるよう研究を進める。
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