研究課題/領域番号 |
23KJ0659
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分18030:設計工学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野田 雅貴 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2025年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2024年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2023年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | トポロジー最適化 / 機構最適化 / トポロジー導関数 / 筋骨格構造 / 負の熱膨張 |
研究開始時の研究の概要 |
トポロジー最適化は,機械などの構造を最適化する手法の中でも最も形状変更の自由度が高く,より優れた最適解を導きうる手法である.しかしながら,これまでのトポロジー最適化は感度導出を有限要素法などに基づき行なっていたため,有限要素法が苦手とする大きな動きや回転を伴う,機構やロボットなどの機械システムを取り扱うことが難しかった. この課題を解決するため,本研究ではトポロジー最適化が得意とする有限要素法で扱うことが可能な,機械システムの大きな動きや回転を近似的に表現するモデルを開発する.また,有限要素法が苦手とする大きな動きや回転運動を,マルチボディダイナミクス解析などで代用することも検討する.
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研究実績の概要 |
トポロジー最適化は機械構造物の構造を力学的に最適化する手法である.本研究は,トポロジー最適化の枠組みを機械システムにおける一つの構造物だけでなく,複数の部品が相互に運動するような機構,ロボットなどの機械システム全体の最適化に拡張することを目的としている. 今年度はまず,複数物体間の滑りを考慮したトポロジー最適化を検討した.はじめに複数物体間の滑りを極端な異方性を持つ材料で近似的に表現し,これにより適切に解析が可能であることを確認した.この異方性材料は4回回転対称性を持つため,その対称性を考慮した異方性配向およびトポロジーの同時最適化手法を構築した.この手法により,変位反転機構を目標とした最適化を行い,妥当な最適解が得られることを確認した.これらの成果は国際論文誌,国際学会において発表を行った. 続いて,アクチュエータを含む機構全体の最適化の検討として,筋肉のように収縮する材料を用いた筋骨格構造のトポロジー最適化手法を構築した.変位最大化,剛性最大化,目標軌道との誤差の最小化などを目的関数として検討した.また密度法ベースの感度と熱構造問題のトポロジー導関数を設計感度として実装し,最適化過程における挙動を確認した.構築した手法 を用いていくつかの機構の設計を行い,手法の妥当性を確認した.その過程で得られた知見を利用して,全体として負の熱膨張係数を持つような周期構造の最適化も行った.本成果について国内の学会において発表し,議論を深めた. また,実物の機械の設計にトポロジー最適化を組み込んでいくことが可能であるか検証するため,実際に機械に組み込む部品を積層造形により試作検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主な開発項目は(1)有限要素法に基づく動力学解析によるトポロジー最適化,(2)多体動力学を併用した解析に基づく機構のトポロジー最適化,(3)得られた最適構造,機構の試作評価 である.初年度は(1)有限要素法に基づく動力学解析によるトポロジー最適化について実装を進め,筋骨格構造のトポロジー最適化手法のベースを構築した.得られた成果は学会発表などを行っている.また(2),(3)についても検討を始めている.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は複数物体間の滑りなどを考慮して筋骨格構造のトポロジー最適化手法を発展させる.並行して多体動力学解析に基づく構造最適化も実装を進める. 最終年度は作業対象物との接触等も考慮した最適化手法を構築し,試作評価により最適化手法の有用性評価を行っていく.
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