研究課題/領域番号 |
23KJ0696
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 茉優 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2025年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 協力 / 囚人のジレンマゲーム / 条件付き協力 / 世代間協力 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、条件付き協力者とまとめられてきた行動原理の下位分類を提案し、集団メンバーが協力を作っていく機序を明らかにする。行動実験では、選択順序の異なる複数の2者間ジレンマゲームでの選択をもとに参加者を数タイプに分類し、それが適当かを検証する。計算機シミュレーションでは、行動実験で分類したタイプを進化シミュレーションに実装し、エージェントがどのような情報に注目し、率先して協力するのかという戦略を分析する。集団実験では、3者以上のジレンマゲームを用いて協力が形成される機序や協力の発生しやすい環境について検討する。
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研究実績の概要 |
研究1. 条件付き協力の初期段階で誰がどのように協力を提供するのかを明らかにするため、プレイヤー同士の意思決定に順序を設けた連続手番での囚人のジレンマゲーム(連続PDゲーム)を用いて従来の条件付き協力者概念を精緻化した。結果に基づき、「相手からの協力を引き出すために率先して協力できるか」という観点から条件付き協力者を3つに分類した。 初期段階での協力の提供は、気候変動など複数の世代をまたぐ世界規模の問題を考える際に特に重要である。そこで、研究1では連続PDゲームに加えて世代間の協力ゲームも実施することで世代内・世代間協力の関連を検討した。 参加者は世代1・2・3として、自分より前の世代の選択を知った上で次世代へ協力的に振る舞うか決定する世代間協力ゲームをプレイした。世代内での条件付き協力者の下位分類が世代1としての協力を予測するかを分析したところ、明白な関連はなかったが、連続PDゲームで協力しなかった人は世代間協力ゲームでも協力しにくい傾向があった。
研究2. 協力の中でも特に世代間の問題では、率先して協力することで世代同士の連動を引き起こし得る「積極的な条件付き協力者」の存在が重要である。研究2では、世代間協力の文脈で人々はどのような場合に「積極的な条件付き協力者」として振る舞うのか検討するため、ウェブ上でアンケート調査を行った。 先行研究を踏まえ、人が合理的な理由の欠如にもかかわらず将来の人々に対して協力することがあるのは、将来の人々や人類そのものの存続を気にかけるような価値観や考え方の影響であり、それらの価値観の受容程度は年齢層などの要因によって異なる可能性があると予想した。そこで本研究では、さまざまな人々の間で、複数の価値観がどのように共有されているのかを調べた。その結果、子どもや孫のいる人ほど世代間協力を促進するような価値観に同意する傾向が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は研究成果をまとめて日本社会心理学会とFUTURE DESIGN 2023で報告し、さまざまな分野の研究者と議論することで研究内容を深めた。また、囚人のジレンマという二者間かつ世代内の協力問題に加えて、世代間の協力問題で世代同士の連動を引き起こし得る「積極的な条件付き協力者」についても検討することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、「条件付き協力の初期段階で誰がどのように協力を提供するのか」というこれまで看過されてきた問いについて明らかにするため研究を実施していく。その際、条件付き協力をより深く・広く理解するために、二者間かつ世代内の問題である囚人のジレンマに加えて、3人以上の集団や世代間のフレームワークなどへと拡張して調査していく必要がある。また、実験だけでなく計算機シミュレーションなどさまざまな手法を用いて多角的に検討していく予定である。
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