研究課題/領域番号 |
23KJ0709
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分22040:水工学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石川 悠生 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2025年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2024年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2023年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
|
キーワード | 衛星観測流量 / 全球水資源モデル / データ同化 |
研究開始時の研究の概要 |
将来の気候変動や人口増加が懸念されるなか、効率的な水資源管理のために、河川流量の空間変化をモニタリングすることは重要であるが、河川流量の現地観測所は点在・偏在しており、未観測流域ではその空間変化を捉えることは難しい。本研究では、衛星観測データから河川流量を推定する新手法を用いて、未観測流域を含む世界の河川において、人間活動による河川流量への影響評価を高解像度で達成することを目指す。具体的には、(1)どのような地点で衛星観測流量が信頼できるのかの分析、(2)衛星観測流量の推定精度を向上させるアルゴリズムの開発、(3)改善された流量空間変化の推定をもとに人間活動による河川流量の増減の評価を行う。
|
研究実績の概要 |
人間活動による河川流量へのより現実的な影響評価の達成には、時空間的に連続した流量推定値が必要となるが、実際に全球の複数河川で衛星観測流量を計算したところ衛星再訪周期や雲被覆等の影響で1年あたりの観測頻度が想定よりも下回る結果となった。そこで、時間的に連続した流量推定が可能な全球水資源モデルに全球空間をカバーする衛星観測流量を同化することで上記目標を達成しようと方針を転換した。
今年度は、衛星観測流量が人間活動を含む河川の流況を把握し得るか確認するために、AMHG式を用いて推定した流量推定値の空間変化の特徴を分析した。その結果、流量の流下・支流合流による増加およびダム・灌漑による減少が確認された。また、AMHG式は流量の事前推定値を衛星観測河道幅を用いてベイズ更新することでより蓋然性の高い事後流量推定値を得ているが、この事前流量推定値に人間活動を考慮することで、流域下流部の事後推定値が改善されることも明らかにした。
衛星観測流量が人間活動を捉え得ることが確認されたため、全球水資源モデルH08(Hanasaki et al., 2008; 2018)に衛星観測流量を局所アンサンブル変換カルマンフィルタを用いて同化するスキームを開発した。ミズーリ川を対象として、geoBAM(Brinkerhoff et al., 2020)アルゴリズムを用いて推定された衛星観測流量をH08に同化したところ、適切なインフレーションパラメータを設定することで、実観測に近い流量推定値が得られることが確認された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画から変更を行なったものの、全球水資源モデルH08のデータ同化スキームの開発が順調に進み問題なく動作することを確認できた。さらに、衛星観測流量を同化する際の課題を洗い出すこともできたので、次年度の方針もある程度定められたと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度は、全球水資源モデルのダム操作や取水スキームに不確実性があると仮定を置いた上で観測シミュレーションシステム実験(OSSE)を行い、衛星観測流量の同化が河道システムの水不遜量を拘束できか否かを検証する。また、現在は実観測所との比較をもとにインフレーションパラメータを定めているため、上記のOSSEを通して未観測流域における適切なパラメータ設定の手法の確立を試みる。
|