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抗炎症性脂質5,6-DiHETEによる新規てんかん治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ0742
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金
応募区分国内
審査区分 小区分42020:獣医学関連
研究機関東京大学

研究代表者

竹ノ内 晋也  東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2025年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
キーワードTRPチャネル / Caイメージング / パッチクランプ / 神経 / 肥満細胞
研究開始時の研究の概要

てんかんは、脳神経の異常興奮により突発性の発作が生じる疾患である。現在用いられている治療薬には、眠気・ふらつき・発疹などの副作用があり、より良い治療法が求められる。てんかんは、脳神経に発現しているTRPV1や4と呼ばれるチャネルの異常活性が原因の1つとされるが、その活性を起こすリガンドは見つかっていない。脳で産生される脂質代謝産物の中に、TRPV1/4を刺激する内因性の脂質代謝物(原因物質)がある可能性がある。本研究は、てんかんの原因となるTRPV1/4活性脂質代謝物の探索と、脂質代謝物のてんかんに対する抑制効果を検証する。これにより安心して服用できるてんかん治療法の開発を目指す。

研究実績の概要

私は抗炎症性の生理活性脂質5,6-dihydroxy-8Z,11Z,14Z,17Z-eicosatetraenoic acid (5,6-DiHETE) による新規てんかん治療法の開発を目的に研究を行っている。
まず、5,6-DiHETEの生理活性および作用機序の詳細な解明を行った。5,6-DiHETEはTransient Receptor Potential Vanilloid 4 (TRPV4) チャネルを介したシグナルを抑制することが知られているため、近縁のチャネル(知的財産権等の関係上、具体名は差し控える)に対する生理活性を調べた。当チャネルの遺伝子を導入した細胞を用いたカルシウムイメージングおよびパッチクランプを行った結果、チャネル作動薬による細胞内カルシウム濃度の上昇および全細胞電流の上昇を5,6-DiHETEが抑制することを見出した。
次に、アレルギーをはじめとした免疫反応において重要な役割を持つ肥満細胞の活性に5,6-DiHETEが与える影響を検討した。野生型マウスから単離した骨髄細胞を肥満細胞に分化させ、抗原-抗体反応により脱顆粒を誘起した。顆粒から放出された酵素の量を指標に脱顆粒率を算出したところ、溶媒処置と比べ5,6-DiHETE処置は肥満細胞の脱顆粒率を抑制した。
さらに、犬てんかん症例における脂質網羅解析により、新規バイオマーカーを特定することができた。同時に疼痛モデルの脂質網羅解析を行い、てんかん病態との比較参照を通じて神経系の疾患と生理活性脂質の関係を見出してきた。こうした研究成果に基づき、病態モデルへの脂質産生制御による影響を評価中である。
以上の成果を複数の学術集会および投稿論文として発表してきた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の研究実施計画に掲げていたように、生理活性脂質5,6-DiHETEの新たな作用点を発見したほか、神経活動において重要なチャネルを介した生理機能を解明することができた。また、当初の計画に含まれていた脂質網羅解析によるてんかん症例のバイオマーカー探索も実施し、学術論文として投稿準備中である。それだけでなく、末梢性の疼痛病態における生理活性脂質の関与についても研究を展開することができた。

今後の研究の推進方策

まず、てんかんおよび疼痛疾患における生理活性脂質の網羅解析を完了し、病態に関与する脂質候補を特定する。脂質網羅解析により特徴的な動態を見せた脂質に関して、神経細胞を用いたin vitro, in vivoのイメージング・パッチクランプ等により神経活動に対する脂質の生理作用を評価する。こうした脂質の病態への関与を探求するため、てんかん・疼痛病態モデルを作成し、神経節における脂質代謝酵素の発現量・分布を免疫染色やmRNA発現解析・シングルセル解析などを用いて解析する。さらに、脂質代謝酵素の阻害剤あるいは脂質の投与により、てんかん・疼痛モデルの病態・症状に対する影響を評価する。以上の研究成果をまとめ、学術集会で発表を行い、投稿論文として発表する予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Alleviation of allergic conjunctivitis by (±)5(6)-dihydroxy-8Z,11Z,14Z,17Z-eicosatetraenoic acid in mice.2023

    • 著者名/発表者名
      Nanae Nagata, Tomoka Suzuki, Shinya Takenouchi, Koji Kobayashi, and Takahisa Murata.
    • 雑誌名

      Frontiers in Pharmacology

      巻: 14 ページ: 1217397-1217397

    • DOI

      10.3389/fphar.2023.1217397

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 神経因性疼痛モデルにおける脂質代謝産物のプロファイルとTransient receptor potential vanilloid 1チャネルの関与2024

    • 著者名/発表者名
      竹ノ内晋也、村田幸久
    • 学会等名
      第6回獣医比較薬理学毒性学会春季研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 5,6-DiHETEは肥満細胞の脱顆粒を抑制して、アレルギー性結膜炎の症状を抑制する2023

    • 著者名/発表者名
      竹ノ内晋也、永田奈々恵、鈴木十萌歌、村田幸久
    • 学会等名
      第166回 日本獣医学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 5,6-dihydroxy-8Z,11Z,14Z,17Z-eicosatetraenoic acid (5,6-DiHETE) の投与はマウスのアレルギー性結膜炎を抑制した2023

    • 著者名/発表者名
      竹ノ内晋也、鈴木十萌歌、木田美聖、永田奈々恵、村田幸久
    • 学会等名
      第97回日本薬理学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [産業財産権] てんかんの検出方法2023

    • 発明者名
      村田幸久、米澤智洋、竹ノ内晋也
    • 権利者名
      村田幸久、米澤智洋、竹ノ内晋也
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2023-145685
    • 出願年月日
      2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-26   更新日: 2024-12-25  

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