研究課題/領域番号 |
23KJ0756
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分61040:ソフトコンピューティング関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 祐介 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2025年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2024年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2023年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | リミットサイクル / 力学的な振動子 / メトロノーム / 双安定系 / 同期現象 / 周期外力 |
研究開始時の研究の概要 |
振動現象は自然界や人間社会に広く観察され,体内時計のように恒常性の維持に必要なリズムもあれば,疾患に関連して出現する異常なリズムも存在する.後者のような"望ましくない"振動を解消することは実応用につながると期待され,実際,ある種の不整脈やパーキンソン病では,外部からの電気刺激により異常なリズムを"壊す"治療が臨床的に用いられている. 本研究では,どのような外部刺激を与えれば振動を停止させられるかに関して,理論的な枠組みを構築することを目指す.具体的には,振動状態を数理モデルの安定な周期解(リミットサイクル)で表現し,振動を停止させるような外部刺激(パルスやノイズ,フィードバック等)を探索する.
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研究実績の概要 |
2023年度は,安定なリミットサイクルと安定固定点の両方を持ち,振動状態から静止状態への状態転移(振動停止現象)が実験的に観察される具体的な例として,可動な台の上に乗ったメトロノームを題材とした解析を行った.振動停止現象の解析を容易にするため,先行研究とは異なるメトロノームの数理モデルを新規に構築し,得られた運動方程式を平均化法によって近似することで,解析を行った.その結果,振動停止現象がリミットサイクルのサドルノード分岐によって起こることが明らかになった.さらに,2つのメトロノームを台の上に乗せた結合系についても同様の解析を行い,同相同期解,逆相同期解,振動停止解それぞれの安定性に関する相図を解析的に導出し,数値計算を追加で行うことで,平均化近似の妥当性を検証した.また,同相同期解が不安定化する際の分岐についても数値的に検証し,分岐図を作成した.以上より,台を介したフィードバックが,振動停止現象を引き起こしていることを明らかにした.これらの研究成果は,特別研究員として採用される以前から行っていた研究をさらに継続・発展することで得られたものであり,国際学術誌に掲載された. その他に,修士課程から継続していた研究に関して,非線形力学系モデルにおける発散解の安定性を解析した研究が国際学術誌に掲載された.こちらに関しては,振動現象に着目して解析を行ったという点で,本研究課題とも関連した研究といえる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は,研究計画書にも記載した,メトロノームにおける状態転移を扱った研究を行った.モデルの構築から解析,数値計算,相図と分岐図の作成,といった,一連の結果を出すことができており,さらに成果が国際学術誌に掲載されている.以上のことから,本研究課題は概ね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,双安定なStuart-Landau振動子に対し周期外力を入れた場合の解析を行う予定である.さらに,時間遅れフィードバックを入れた場合についても,数値計算や解析を行い,異なる摂動を入れた場合の振動子の状態転移に関して,転移の起こりやすさ等の観点から比較を行う.
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