研究課題/領域番号 |
23KJ0776
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山口 達寛 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2025年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 神経筋接合部 / 加齢 / 運動神経 / 筋萎縮 |
研究開始時の研究の概要 |
加齢に伴う筋力低下は高齢者の健康や自立的生活を脅かす要因となっている。この筋力低下は筋量低下の数倍の速度で進行するため、加齢性筋力低下には神経側の要因が強く関わると考えられている。本研究の目的は運動神経と筋線維の接続部分にあたる神経筋接合部に着目して、加齢性筋力低下の機序を解明して予防法を開発することである。これまでに開発した神経筋間の信号伝達測定法を用いて運動や不活動が神経筋機能に及ぼす影響とその分子的メカニズムを解明することで、筋力低下への有効なアプローチを提案することを目指す。
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研究実績の概要 |
研究期間1年目である令和5年度は,これまでに開発したマウス神経筋接合部の機能評価法の妥当性を検証すること,老齢マウスに対して神経筋接合部の形態変化を引き起こす遺伝子介入を行って形態変化と機能の関連を検証することの2つを目的として研究を行った. はじめに,若齢マウスと老齢マウスで神経筋接合部の機能を比較すると,老齢マウスでは高周波でのみ機能が低下して筋力低下を引き起こすことが分かった.神経損傷マウスに対して同様の測定を行うと,運動神経の回復に伴って神経筋接合部機能が回復することも確認できた.これらの結果から,本手法は神経筋接合部の機能評価法として妥当であると判断した.さらに,従来の手法では高周波での神経筋機能評価ができないうえに筋力への直接的な影響の評価もできなかったが,本手法ではこれらの課題を克服することができた.これにより,加齢に伴う神経筋接合部機能変化を適切に評価できる新たな手法が確立された. 次に,遺伝子介入を行うための準備として,加齢に伴う神経筋接合部の形態変化を再検証した.すると,通説と異なり神経筋接合部の神経側に形態変化が認められた.当初は神経筋接合部の筋側への介入を想定していたが,このような介入では加齢性筋萎縮の予防法考案には結びつかない可能性がある.そこで,神経筋接合部の神経側への介入を行うため神経変性を引き起こした分子メカニズムの探索を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経筋接合部の機能評価法の妥当性検証は計画通り実施することができ,当初予定していなかった神経損傷モデルにおいても同様の検証を行うことができた.一方,遺伝子介入の実験は行うことができなかったがこの目的は神経筋接合部の形態ー機能の関連を解明することであり,月齢や活動量を変化させた複数のマウスに対して検証したことで目的はおおむね達せられた.さらに,加齢に伴う神経筋接合部変性についても新たな知見が得られており,研究は概ね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
まずは老齢マウスで神経筋接合部の神経側が変性した分子メカニズムを解明し,それに対する遺伝子操作を行うことで老齢マウスの神経筋機能を改善できるかを検証する.次に,当初の計画通り,神経変性への予防効果が高い運動様式を解明するため,低強度トレッドミル走と高強度レジスタンス運動が神経筋接合部の分子・形態・機能的側面に及ぼす影響を解明する.
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