研究課題/領域番号 |
23KJ0792
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
別府 崇善 東京大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2025年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 不登校 / 不登校支援 / 高校進学 / ニーズ / 長期欠席 / 国際比較 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、不登校経験者を受け入れる非主流の後期中等教育機関へ進学する子どもの、義務教育段階から就学や就労段階への移行過程を当事者の視点から通時的に明らかにする。さらに、長期欠席者の移行支援について先進的な取り組みを行うスウェーデンを参照し、支援策の示唆を得る。 具体的には、不登校を経験した子どもとその保護者を調査協力者とし、①非主流の後期中等教育機関への進路形成過程、②進学後の学校再適応過程および義務教育段階で不登校と関連していた困難の維持/解消過程、③卒業後の就学/就業経験を明らかにする。さらに、④スウェーデンで展開される、長期欠席者の移行支援における学校・自治体間の連携手法を明らかにする。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、義務教育段階での不登校支援に関する研究成果が2点見られた。また、他国における支援実践の参照を通して不登校支援策を検討する研究について、前進が見られた。 義務教育段階に関する成果については、まず、フィールドワーク先(X教室)に通う不登校の子どもたちが、どのように高校進学を果たすのかに着目し、その知見を国際学会で発表した。結果として、X教室が学力に関する支援に加えて、情緒的な支援や高校に対する見通しをもたせる支援を行うことで、高校進学をサポートしていることが明らかになった。同時に、X教室に居続けると、進学できる高校が限られるという限界を支援者は認識していた。 次に、X教室の支援者が自身の役割についてどのように認識しているのかに着目し、東京大学現代日本研究センターでのGraduate Student Forumにて研究発表を行った。結果として、X教室での支援者が、そこに通う子どもたちの多様なニーズを把握しながらも、自身の役割を周辺的なものであると認識していること、結果としてそこに通う子どもたちの支援の中心的な役割を誰がどのように担うのかが不透明となっていることを示した。今後、これらの知見を投稿論文にするとともに、子ども自身やその保護者への調査を実施し、被支援経験のリアリティを明らかにする。 最後に、スウェーデン、イギリス、ドイツ、日本の4か国における欠席現象の比較研究に参画し、国際的なネットワークを拡大した。日本での調査と、調査における通訳を担当し、計4校でインタビューを実施した。データの分析と議論を重ねる中で、各国ともに支援ネットワークを利用して欠席防止の策をとっていること、一方で支援者自身の認識が教育制度やレジームによって異なることが示唆された。今後、学術発表を行う。また、国際的なネットワークを活かして、本研究の成果を国外に積極的に発信していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、不登校経験者を受け入れる非主流の後期中等教育機関へ進学する子どもの、義務教育段階(①)、後期中等教育段階(②)、 就学/就労段階(③)といった移行過程を当事者の視点から通時的に明らかにする。さらに、長期欠席に関する他国の支援策の参照を通して、国内の支援策を検討すること(④)を目的としている。 本年度は、義務教育段階における不登校支援の実態について、学会発表とフォーラムでの発表を、それぞれ1件ずつ行った。さらに、子どもの長期欠席について研究する国外の研究者とつながり、支援策の比較に関する研究を開始した。以上より、①④の一部を達成した。 一方で、不登校を経験した子どもたちの高校段階や就学/就労段階での経験といった②③に関しては、調査協力者に調査を依頼し、試験的な調査を行っている段階である。結果、具体的な知見の導出には至っていない。 以上より、「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
義務教育段階を対象とした研究については、実績の概要で述べた知見をもとに論文を執筆し、さらに子どもや保護者といった被支援者の視点から、不登校経験やそこでの支援をどのように捉えているのかを明らかにしていく。高校段階および就学/就労段階については、調査を依頼している調査協力者に順次正式な調査を開始し、学術発表および論文を執筆していく。特に、義務教育段階で明らかになった支援者の認識との差異と、子どもや保護者の不登校経験に対する意味づけの変遷に着目する。支援策の国際比較に関しては、長期欠席現象をどのように捉え、どのように改善しようとしているのか、日本と各国の長期欠席に関する政策の比較と、さらに、各国でのインタビュー調査の分析を継続し、学術発表および論文を執筆する。
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