研究課題
特別研究員奨励費
私たちの身の回りにはさまざまなものが存在しているが、想像上のキャラクターや未来の出来事のような、ある種の「存在しないもの」もまた私たちにとって身近なものであり、同時に多くの哲学的な論点を含んでいる。本研究では、現代の非存在者の形而上学と、その重要な源泉のひとつとなっているオーストリア哲学の伝統を手がかりとして、特に (1) 美的価値や道徳的価値といった価値に関する心の働きや言明、(2) 要求や約束といった言語行為、の各領域における非存在者の問題を明確化した上で、非存在者の形而上学の新しい応用可能性を示すことを目指す。