研究課題/領域番号 |
23KJ0850
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分62010:生命、健康および医療情報学関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
岩渕 祥璽 東京農工大学, 大学院工学研究院, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 分子ロボティクス / DNAナノテクノロジー / ハイドロゲル / リポソーム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,リポソーム内部の反応系・構成分子を保持しつつ,リポソーム外部環境との分子授受・コミュニケーションが可能な分子ロボットの開発を目指す.従来の分子ロボットは,外部の分子を受容するためにリポソームの膜面に人工ナノポア等を導入する場合,分子を受容すると同時に単純拡散によって分子ロボット内部の構成要素が流出してしまう可能性がある.本研究では,DNAオリガミやDNAハイドロゲル等を利用することで分子ロボットの構成分子及びその封入手法を工夫し,集積化することで外部分子の受容と特定の分子のみの放出する機能の両立を目指す.
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研究実績の概要 |
当初の計画では1年目はゲートの構築を中心に行う予定であったが、より新規性の高い、DNA修飾ポリマーによる貨物分子の保持が可能なゲル形成を中心に実験を行った。高分子骨格にはアクリルアミドを利用し、そのアクリルアミドのポリマーに対してDNA鎖が修飾されたポリマーを作成した。保持するモデル貨物分子として粒径1~50nmの蛍光分子・金ナノ粒子を用い、ハイドロゲルの内部におけるその保持能力を評価した。実験の結果、蛍光分子は拡散してしまうが、金ナノ粒子は1週間以上経過してもゲルの中に保持されることがわかった。現在は、蛍光分子や薬剤分子などを保持できるようにポリマーおよびゲルの形成条件の検討・改良を行っている。また、形成したDNAハイドロゲルは直径数十マイクロメートルの巨大リポソーム(GUV)の内部に封入ができることを確認した。一般的な手法でGUV内部にゲルを封入する場合、GUVの内部が全てゲルになってしまう。これを回避し、GUVの内部を部分的にゲルにするため、マイクロ流路を利用したGUV作成、または膜融合法を利用することでGUV中へ封入することを検討している。 研究活動に関連する内容として、学部学生向けの分子デザインコンペティション「BIOMOD2023」において、東京農工大学の学部生チームのメンターを担当し、同チームは上位50%以内のチームに与えられる銀賞を獲得した。プロジェクトは自身の研究に関連があるテーマであるため、得られた結果の学術論文の掲載に向けて追加の実験を学部生チームと共同で行っている。さらにレビュー論文の執筆にも参加し、Lab on a chip誌に掲載され、HOT Articles2023に選出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に記載した内容のうち、リポソーム内部で分子集積するためのDNA修飾ポリマーを設計・評価し、そのポリマーによって形成されたハイドロゲルのリポソーム内部への封入について評価した。また当初研究計画に記載しなかった新規の内容について学部生チームと共同実験を行った。以上を踏まえ、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度も引き続き、DNA修飾ポリマーを利用して形成されるDNAハイドロゲルの物性評価を中心に行う。2023年度に行った実験は、主にPCRチューブにおける挙動を評価するものであったため、リポソーム中に封入にした場合の挙動を中心に評価する予定である。 また、設計したDNAハイドロゲル中での貨物分子の保持について、当初の設計では薬剤分子あるいは蛍光分子などの親水性分子などを封入するとしていたが、金ナノ粒子は保持できる一方で親水性分子の保持が確認できていない。塩基配列やポリマーの生成条件を変更し、これらの分子が保持できる条件についても検討する。
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