研究課題/領域番号 |
23KJ0861
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分37030:ケミカルバイオロジー関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
坂本 良太 東京農工大学, 大学院工学府, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ビタミンD3 / ビタミンD3代謝物 / C2C12 / 筋肉 |
研究開始時の研究の概要 |
ビタミンD3(VD)代謝物中から、「筋萎縮体制活性」を有する代謝物の探索を行う。具体的には、VD代謝物ライブラリー(計20種)を用い、これらをマウス筋芽細胞(C2C12細胞)に播種し、筋萎縮マーカー遺伝子(MAFbx、MuRF1)の発現量をリアルタイムPCRで解析をする。これにより筋萎縮マーカー遺伝子を減少させる代謝物(VD-mets)を明らかにする。そして、VD-metsの詳細な作用機序解明を行うためにVD-metsプローブを創製し、これを用いてVD-metsの結合タンパク質を同定する。以上より、「筋萎縮体制活性」を有するVD研究目的 代謝物の同定およびその活性の詳細な作用機序解明を行う。
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研究実績の概要 |
高齢化社会において老化による筋肉量の減少(廃用性筋萎縮)の改善は、QOLの観点から喫緊の課題である。ビタミンD3(VD3)は、古くから筋肉の増強・維持(「筋萎縮耐性活性」)を担うことが知られているホルモンであり、当該活性はVD3代謝物の一つである1,25-水酸化VD3(1,25D3)が、その結合タンパク質VDR(VD Receptor)を介して担うと考えられてきた。一方、「筋萎縮耐性活性」は、筋肉細胞が1,25D3標的臓器と比べVDRの発現量が極端に低いこと、筋肉細胞には1,25Dの側鎖を代謝するCYP24A1が大量に発現していることから、1,25D3以外のVD代謝物(50種以上存在。これらの生物活性はほぼ未開拓。)の関与が強く示唆される。そこで本研究では、これまで見過ごされてきたVD代謝物の中から、「筋萎縮耐性活性」に関与するVD代謝物の探索、およびその結合タンパク質の同定を計画した。 本年は、「筋萎縮耐性活性」に関与するVD代謝物の探索を実施した。しかし、当該活性に影響を与える代謝物は発見されなかった。そこで、研究の焦点を変更し、石灰化した筋細胞におけるVD代謝物群の効果について検討を行った。その結果、複数のVD代謝物の中から、1つの代謝物Aが筋細胞の石灰化抑制に有効であることが明らかになった。VD代謝物群が筋萎縮には影響を与えないものの、石灰化抑制には効果を示すことが判明したことは、特定の代謝物が持つ潜在的な治療的価値を示唆している。今後の研究で、この代謝物Aの具体的な作用機序や、筋疾患および石灰化疾患における治療応用の可能性についてさらに詳細な検討を計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
筋萎縮に関連する遺伝子マーカー(MAFbx、MuRF1)の発現量を評価することにより、VD代謝物群が筋萎縮に与える影響を検討した。具体的には、筋細胞(C2C12細胞)にVD代謝物群を播種し、筋萎縮遺伝子マーカーの発言量の変化をqPCRにより評価した。しかし、VD代謝物群がこれら筋萎縮マーカー遺伝子の発現に有意な影響を与えることは確認できなかった。 そこで、研究の焦点を変更し、石灰化した筋細胞におけるVD代謝物群の効果について検討を行った。すなわち、特定のVD代謝物が筋細胞の石灰化を抑制する可能性があるかを評価した。その結果、複数のVD代謝物の中から、1つの代謝物Aが筋細胞の石灰化抑制に有効であることが明らかになった。 VD代謝物群が筋萎縮には影響を与えないものの、石灰化抑制には効果を示すことが判明したことは、特定の代謝物が持つ潜在的な治療的価値を示唆している。今後の研究で、この代謝物Aの具体的な作用機序や、筋疾患および石灰化疾患における治療応用の可能性についてさらに詳細な検討を計画している。
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今後の研究の推進方策 |
筋細胞の石灰化を抑制した代謝物(VD-mets)プローブの合成を行い、これを用いてVD-mets と結合するタンパク質の同定を行う。VDのC11位に、alkyne(結合タンパク質回収基)とbenzophenone(光照射により結合タンパク質と共有結合を形成させる官能基:光反応基)で修飾した、VD-mets プローブ(結合タンパク質同定用プローブ)を合成する。なおプローブ分子の創製では、VD-mets に導入するプローブのリンカー長、光反応基の構造(benzophenone部)、回収基の構造(alkyne 部)を系統的に変化させ、プローブ分子を最適化する。最適化されたプローブ分子を用いて、結合タンパク質同定を行う。VD-mets プローブ分子をC2C12細胞に添加及び紫外線照射を行うことでVD-metsと結合タンパク質間に共有結合を形成させ、これを回収し、質量分析を行うことでVD-mets と結合するタンパク質の同定を行う。これにより、VD-metsの詳細な作用メカニズム解明を目指す。
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