研究課題/領域番号 |
23KJ0874
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
酒井 理 東京農工大学, 大学院農学研究院, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 外来種防除 / グリーンアノール / 小笠原諸島 / 個性 / ロボット / トラップ |
研究開始時の研究の概要 |
日本における外来種グリーンアノール(爬虫綱トカゲ亜目)の防除と小笠原諸島の生態系保全を推進するため、対象動物の繁殖行動を利用した誘引トラップを作成する。具体的には、本種の視覚ディスプレイを模倣したロボットと、近接した個体が自動的に捕獲される機構を開発し、野外での実用化を目指す。移入個体群の繁殖行動を自然条件下で観察し、ロボットで再現する視覚ディスプレイや造形の微調整を重ねながら誘引効果を高める。さらに、トラップに誘引されされやすい個体と誘引されにくい個体の性質を調べ、個性研究の観点を外来種防除へと適用するフレームワークを提唱し実現する。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、外来種であるグリーアノールの繁殖行動を利用した誘引トラップを確立する。具体的には、対象動物の視覚ディスプレイを模倣したロボットの作成、ロボットに接近したトカゲの自動捕獲機構の開発、トラップへの誘引効果と対象個体の大胆さの関係性を検証する。1年目ではプロジェクトの下地を整えるために、(1)父島での調査環境の確立、(2)野外観察による基礎知見の収集、(3)トカゲ型ロボットの開発への着手を行なった。
具体的には、5月から6月にこれまでグリーアノールの研究に従事してきた研究者や防除事業の担当者とも交流を深め、移入個体群の分布拡大に関する現状を把握した。そして、東京都立大学の客員研究員の資格を得て、父島のフィールドステーションを利用する手はずを整えた。7月と9月に2週間ずつの現地調査から、繁殖期後の9月には視覚ディスプレイの発生頻度が激減すること、個体レベルではディスプレイを披露する間隔はランダムであることが明らかとなった。これらの知見はロボットによる動きの模倣に活かされている。更に、東京都立大学の研究グループと100個体以上の画像データを共有する連携体制を整え、現在はグリーアノールの体色の解析をおこなっている。得られる知見は、ロボットの外装の色味を忠実に再現する際に役立つことが期待される。 8月から東京農工大学の学生団体にロボットの開発協力を依頼した。開発担当者との綿密な話し合いと試行錯誤を重ね、翌年1月に試作機が完成した。また、外装部分の作成にも取り組んできた。実際のトカゲの液浸標本から粘土型を作り、その鋳型にシリコンを流し込んで固めることでリアルな造形を実現した。現在は追加で3機のロボットを作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の主な目的は計画通りに達成できたと自負している。特に、父島での調査環境の確立と野外観察に基づく基礎知見の収集に関しては期待以上の成果が得られた。東京都立大学の研究施設を利用させて頂くことで、長期滞在を必要とする現地での実験が行いやすくなり、円滑に研究計画を進めていく基盤が整えられた。トカゲ型ロボットの開発も計画通りに進み、2年目の野外調査の時期までに実用的なものが完成した。ロボットの開発において協力してくれた学生団体とも良好な関係を築き、今後改良や修理が必要な際にも直ぐに取り掛かれる技術的なサポート環境を構築した。また、グリーンアノールに対する忌避音声の開発の研究成果を学術論文として発表し、動物の性格に関わる総説論文を発表した。これらの状況を踏まえて「おおむね順調に進展している」という自己評価を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の2年目は誘因性の実地試験が主な目標である。この達成に向けて、2024年の5月と7月にそれぞれ1ヵ月間の現地調査を計画しており、ロボットの提示実験の準備を進めている。また、9月にはロボットの改良のアイデアを議論するため共同研究者の元を訪れる。New South Wales大学にはロボットを用いたトカゲの進化の研究を展開する第一人者がおり、効果的な動きと色彩の改善に関して議論を交わす予定で日程調整を進めている。秋から冬にかけては捕獲機構の開発にも着手する。1年目に開発したロボットと併用し、野外に長期間設置しても耐えうる耐久性の実現に向けて、工学を専門とする研究者との情報交換を計画している。
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