研究課題/領域番号 |
23KJ0912
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分61010:知覚情報処理関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
長沼 一輝 東京工業大学, 情報理工学院, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | スパース表現学習法 / 先端イメージングデータ解析 |
研究開始時の研究の概要 |
多様な劣化への対応とデータの少なさの克服は困難な課題であるため、まずはそれぞれの問題を解決するスパース表現学習法を確立する。具体的には、第一段階としてロバストなドメイン固有スパース表現を取得し、第二段階として高次元テンソルを用いた統合スパース表現を取得する。次にこれらの手法によって獲得した辞書を融合することで、計測対象固有の構造を捉えたスパース表現を得る。具体的には、第三段階としてドメイン固有スパース表現と統合スパース表現の融合によるハイブリッドスパース表現を取得する。これを各先端IMデータ-ハイパースペクトル画像、電子顕微鏡動画、赤外線動画-の解析に応用し有効性を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究者は厳しい劣化が伴う先端イメージングデータ解析のためのスパース表現学習法の研究を行っている。この技術では、真の情報をスパースに表現する変換(辞書)をデータから学習する技術であり、「スパース表現による解析情報と計測データとの整合性を保つ項(データ項)」と「係数のスパース性を評価する項(スパース項)」からなる最適化問題を解くことで実現される。 まず、第一著書として1.信号処理分野のトップ論文誌であるIEEE Transactions on Signal Processingに、最適化アルゴリズムの適切なパラメータを自動決定する手法に関する論文、2.リモートセンシング分野におけるトップレベルの論文誌であるIEEE Journal of Selected Topics in Applied Earth Observations and Remote Sensingに、先端イメージングデータであるハイパースペクトル画像のミクセル分解に関する論文が採択された。国際会議においては、1.信号処理分野のフラグシップ国際会議であるIEEE ICASSPに第一著者として、先端イメージングである顕微鏡動画の前景背景分離に関する内容、2.同じくIEEE ICASSPに第二著者として、解像度の異なるリモートセンシング画像の合成技術に関する内容、3.信号処理分野において権威のある国際会議出るAPSIPA ASCに、第一著者として劣化にロバストなスパース表現学習に関する内容、4.信号処理の振興の国際会議であるASPIRE 2024に第一著者として、ハイパースペクトル画像のミクセル分解に関する内容を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は3項目に分かれており、項目1では厳しい劣化に対応できるスパース表現学習法の確立を行い、項目2では複数のドメインの計測データを統合的に扱うことで量的な課題を克服できるスパース表現学習法の確立を行い、項目3では項目1と項目2で獲得したスパース表現を融合する方法論を確立する。 今年度は項目1と項目2の根幹をなす最適化技術の拡張を行った。この最適化技術が、スパース表現学習以外の解析においても有用であることを示した。また、劣化に対してロバストな辞書学習を行えるように最適化問題を設計し、成果1の最適化技術を駆使しながら、求解アルゴリズムの開発に成功した。そして、異なる構造を持つ二つのデータを融合する技術の開発を通して、項目3の事前検討も進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、おおむね計画に沿って行く予定であり、次のように進めていく。 まずは、拡張した最適化技術を駆使して、項目2の複数ドメインの計測データを統合的に扱う方法論の実現を進めていく。 続いて、項目3に関しては、スパース表現を融合する方法を検討するしていく。同時に、スパース表現の融合にとどまらず、ドメインの異なるデータの融合技術という観点からも研究を遂行していく予定である。 実際に先端イメージングデータ計測を扱う研究者との共同研究も実施していきたいと考えている。具体的には、先端イメージングデータの一種であるラマン分光イメージングを専門とする九州大学の平松光太郎先生に訪問し、平松先生との共同研究を実施していきたいする。 同時に、当初の項目に加えて、スパース性を促進するための最適化技術の導入も検討していきたい。現在はスパース性を促進するための指標として、凸関数であるL1タイプのノルムを用いている。本来スパース性を正確に測る指標は非凸関数であり、最適化の安定性を保証するためにスパース性を正確に測る指標を緩和して得られるL1ノルムを用いている。今後は、よりスパース性を正確に測れて、かつ最適化の安定性を保証することが可能なDifference-of-convex最適化を導入していく。
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