研究課題/領域番号 |
23KJ0920
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分37030:ケミカルバイオロジー関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
橋本 匡浩 東京工業大学, 生命理工学院, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 自己集合性ペプチド / 液-液相分離 / プロテオミクス / 細胞 / Nck1 / in cell reconstruction |
研究開始時の研究の概要 |
細胞内では、複数の蛋白質や核酸が集積化し、液-液相分離 (LLPS) によって液滴を形成することで、代謝反応や遺伝子発現など様々な生命現象を制御する。近年の研究により、細胞内での液滴形成が予測された蛋白質がヒトゲノムに約7,500種類も存在すると推算され、これまでに発見された約250種類の液滴は、生命現象のごく一部であることが示唆されている。 そこで本研究では、液滴形成しうる配列をもった蛋白質が、(1) 細胞内環境で相分離しえるのかを判別できるInduced-LLPS法を開発し、(2) 液滴形成した際に、その液滴にどのような生理的意味があるのかを明らかにする分子ツールを開発する。
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研究実績の概要 |
今年度は、細胞内で相分離液滴を形成しうる配列をもつタンパク質が、実際に細胞内で液滴形成するのかを判別できるinduced-LLPS法を確立し、生じた液滴がどのような機能をもつかを調べる本研究のアプローチの妥当性を実証することを目的とした。 まず、induced-LLPS法の実現に適した分子ツールの候補として見出された自己集合性YKペプチドタグの液滴形成メカニズムを調べた。YKペプチドはチロシン(Y)とリシン(K)を繰り返したカチオン性のペプチドタグであり、細胞内のATPのようなポリアニオンによって架橋され、自己集合することが示された。また、液滴のようなマイクロスケールの構造を形成する上では、細胞内のクラウディング環境が寄与していることが示唆された。さらにYKペプチドタグは、細胞内での液滴形成が既知なタンパク質に融合した場合にその液滴形成を誘導でき、変異導入によって液滴形成能を失ったバリアントに融合しても液滴に成熟しないことが明らかとなった。このことから、YKペプチドは細胞内での液滴形成のポテンシャルを調べるinduced-LLPS法に適した分子ツールであることが示された。 次に、自己集合性ペプチドタグによって標的タンパク質を細胞内で集積化し、形成された集合体へ濃縮してきた内在性のタンパク質群をビオチンリガーゼTurboIDによってラベル化し、LC-MS/MS解析で同定するアプローチを実証するため、今年度はまず先行研究で確立されていたY15ペプチドタグを用いた。標的タンパク質のモデルとしてアクチン重合に関与するNck1を選択し、Y15タグによって構築されたNck1の人工的な集合体に濃縮されたタンパク質群を同定した。その結果、アクチン重合に関与する多様なタンパク質が同定され、自己集合性ペプチドタグを用いた本研究アプローチの妥当性が示された。
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