• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

現代日本社会の「男性美」の成立と男性美容実践の研究を通した男性性理論の立ち上げ

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ0959
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金
応募区分国内
審査区分 小区分80030:ジェンダー関連
研究機関お茶の水女子大学

研究代表者

小口 藍子  お茶の水女子大学, 人間文化創成科学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
キーワード現代日本 / 男性 / 男性性 / 男性美 / 美容 / 化粧 / ジェンダー / パフォーマティヴィティ
研究開始時の研究の概要

近年、日本では男性化粧品市場が急速に拡大し、男性の間での美容への関心や需要が高まっている。本研究は男性の美容実践に焦点を当てて、現代日本社会における男性/男性性の在りようを検討するものである。はじめに、日本社会で「男性美」がどのように理解されてきたかを調査する。それを踏まえ、美容を実践する男性への聞き取り調査と美容サービスが提供される場所での調査を行う。調査の結果から、現代日本社会の文脈に即した男性性理論を考案する。

研究実績の概要

本研究の目的は、男性の美容実践を通して、現代日本社会に根差した男性性理論を考案することにある。この目的のもと、2023年度は[研究1]近代以降の日本社会における「男性美」の研究、[研究2]美容を実践する男性たちと男性向け美容産業の研究、[研究3]男性性理論の研究を行った。
なお2023年度の研究は、男性の美容実践のなかでも化粧に着目した。男性の化粧はスキンケアや脱毛などと比べて近年特に活性化した美容実践であり、化粧と<男性性>をめぐる豊富なデータが得られたためである。
[研究1]では、近代以降を3つの時代に区分し、各時代の「男性美」をめぐる史資料を分析した。
[研究2]では、[研究2-1]日本に在住し日常的に化粧をする男性たち約10名への継続的なインタビュー、[研究2-2]男性向け化粧品を手掛ける日本企業5社へのインタビューとフィールドワーク、男性化粧イベント3件でのフィールドワークを行った。調査結果の一部はAmerican Men’s Studies Association、国際ジェンダー学会、日本男性/男性性研究会での口頭発表で公表した。
[研究3]では、[研究1][研究2]の結果をもとに、試論段階である「パフォーマティヴィティ」概念を援用する男性性理論の具体的な枠組み作りを進めた。さらに男性性理論についての最新のグローバルな研究動向を捕捉し、自身の理論枠組みと接続させた。調査結果の一部を『Gender & Sexuality』19号の論文で公表した。
「男性美」と男性の化粧実践を扱う2023年度の本研究の成果は、ジェンダー研究のなかでも蓄積が少ない男性/男性性の理論・実証研究に貢献するものである。さらに女性を主な研究対象としてきた化粧研究分野においても、本研究が新たな知見をもたらすことが見込まれる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究目的・計画から大幅な変更なく、研究を遂行している。
[研究1]「男性美」の調査に関して、2024年度での研究成果の公表を見据え、2023年度は史資料の収集と分析に注力した。
[研究2]現代日本の男性美容実践の調査においては、化粧に焦点を当てることで、よりミクロかつ具体的な<男性性>をめぐるデータが得られた。[研究2-1]日常的に化粧をする男性たちとは定期的な情報交換やイベントでの交流等を通して長期的な信頼関係を構築しながら、複数回にわたる聞き取り調査を実施した。[研究2-2]男性向け美容産業の調査について、フィールドワークは当初想定していたよりも短期間での実施となった。しかし複数の企業に対して調査を実施できたこと、複数の男性化粧イベントでのフィールドワークの機会が得られたこと、これらを通して多様な男性化粧品業界関係者の調査を蓄積できたことは想定以上の研究結果であり、概して進捗は順調である。
[研究1][研究2]の調査結果は当初の研究目的である[研究3]男性性理論の考案に資するものであり、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

2024年度も引き続き、男性の化粧に着目して研究を進める。[研究1]「男性美」の史資料分析と[研究2]日常的に化粧をする男性たちと男性向け化粧産業を対象にしたインタビューおよびフィールドワークを継続し、[研究3]の男性性理論をより具体的なものにしていく。さらにその過程で、研究成果を研究目的である男性性理論の議論だけでなく、他分野の議論にも広げていくことを目指す。具体的には[研究1][研究2]の成果を化粧研究、ライフヒストリー研究、顔・身体学研究等に位置付け、関連学会で研究成果の公表を行う。[研究3]では男性性を現代日本社会の文脈から論じるために、国際比較としてアメリカの男性運動グループの活動見学を行う予定である。これにより、本研究の幅広い分野への学術的貢献、および広範な学術的根拠に基づいた男性性理論の立ち上げを可能にする。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 「パフォーマティヴィティを援用する男性/男性性研究の考察 ―理論から展望へ 」2024

    • 著者名/発表者名
      小口藍子
    • 雑誌名

      『Gender and Sexuality』

      巻: 19 ページ: 1-22

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 「Negotiating Masculinity in Men’s Aesthetic Practices in Contemporary Japan: Focusing on Their Agency」2023

    • 著者名/発表者名
      小口藍子
    • 学会等名
      American Men's Studies Association 2023 Conference
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 「現代日本における化粧実践を通した男性同士の関係性の構築に関する考察 」2023

    • 著者名/発表者名
      小口藍子
    • 学会等名
      男性/男性性研究会第2回オープンセミナー
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 「化粧実践における「男性性」の解釈と交渉:現代日本社会の男性化粧実践者の語りから」2023

    • 著者名/発表者名
      小口藍子
    • 学会等名
      国際ジェンダー学会2023年大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-26   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi