研究課題/領域番号 |
23KJ0982
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
網中 康平 横浜国立大学, 大学院理工学府, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | サイアロン / 透明セラミックス / 蛍光 / 粉体プロセス / レーザー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、構造材料として研究されてきた優れた熱機械的特性を有するが、多くは残存気孔や粗大粒子、粒子界面での屈折率差によって不透明であったα-サイアロンセラミックスについて、粒子微細化と結晶配向化により散乱源を極限まで低減して高透明化を図ることを目的とする。加えて、得られた透明α-サイアロンセラミックスの組成や微構造が蛍光特性に及ぼす影響を解明し、これらの知見を踏まえ世界初のサイアロンレーザーに挑戦する。得られた成果は、モノづくりや医療など多様な分野で利用が進む固体レーザーの高出力化において課題となっている局所的な急昇温に対応する高い耐熱衝撃性を有する透明セラミックス材料を提供する。
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研究実績の概要 |
固体レーザーはモノづくり、医療、情報通信など様々な分野で利用され、応用技術拡大のため高出力化が望まれている。高出力化に向け、レーザー媒質には局所的な急昇温に起因する大きな熱応力が作用するため、高い耐熱衝撃性を有する透明セラミックス材料が希求されている。典型的な高温構造材料であるα-サイアロンは高強度、高熱伝導、低熱膨張、といった特徴から高い耐熱衝撃性を示し、高出力固体レーザーの発光材料として期待できるが、多くのα-サイアロンセラミックスは残存気孔、粗大粒子、粒子界面での屈折率差に起因して不透明であった。そこで本研究では、「α-サイアロンセラミックス中の光の散乱源を極限まで低減して高透明化を実現するための粒子微細化と結晶配向化に関する知見を得る」こと、及び、「得られた透明α-サイアロンセラミックスの組成や微構造が蛍光特性に及ぼす影響を解明する」ことで、世界初のサイアロンレーザーに挑戦する。2023年度は知的財産権の関係上詳述ならびに研究発表することができないが、今までにLu3+/Ce3+共添加系で得られた知見を他の希土類イオンにも展開し、その影響を調査した。加えて、レーザー発振試験装置を導入し、今まで報告してきた希土類添加透明α-サイアロンセラミックスについて検討を行ったが、発振は得られず、更なる透明性の向上が必要であることが明らかになった。また、光学材料としての用途展開に向けて、今まで報告してきた(Lu3+/Ce3+)α-サイアロンセラミックスは、紫外線励起だけでなくα線やX線などの電離放射線の照射下でも発光することを発見し、過酷環境下でのモニタリングなどに適用可能な新規高耐久シンチレーター材料としての可能性を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的のアプローチの1つである、α-サイアロン結晶粒子の微細化と緻密化の両立によるα-サイアロンセラミックスを解明するため、Lu3+/Ce3+系で得られた知見を他の希土類イオンに展開し、焼成条件などの作製パラメータが微構造ならびに透明性に及ぼす影響を検討したことで今後の検討を加速できると考えられる。加えて、レーザー発振評価装置を導入してその検討を行い、材料開発にフィードバックしている。また、今まで報告してきた透明Lu3+/Ce3+α-サイアロンセラミックスがα線やX線といった電離放射線に応答したシンチレーション特性を示すことを明らかにし、母材の高耐久性を活用した新規シンチレーター材料としての展開が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
令和7年度には、令和6年度に得られた知見をもとに、原料粉体調製、成形プロセス、ガス圧焼結ならびに熱間等方圧焼結を併用した焼成条件などのプロセス因子がα-サイアロンセラミックスの微構造および透明性や蛍光特性に及ぼす影響を明らかにしていく。これら作製プロセスを変化させて作製したα-サイアロンセラミックスをレーザー発振評価装置を用いて発振可否を調べ、得られた知見を試料作製にフィードバックし、高透明蛍光α-サイアロンセラミックスの作製とレーザー発振に挑戦する。
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