研究課題/領域番号 |
23KJ0986
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分24010:航空宇宙工学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
間々下 智広 横浜国立大学, 大学院理工学府, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 磁気流体力学 / 数値流体力学(CFD) / 有限体積法 / 再構築手法 / 流束関数 |
研究開始時の研究の概要 |
磁気流体力学(MHD)はプラズマ流れと磁場の相互作用を扱う学問である.本研究ではMHD数値計算の工学利用に向け,数値的安定性,精度,計算効率を両立した新たなMHD計算手法を開発する.既存のMHD計算手法は複雑なMHD波動によって,上記の性能を両立できていない.そこで本研究では,空気の数値計算分野で上記の性能を両立している計算手法「AUSM型スキーム」をMHD数値計算に拡張する.AUSM型スキームは計算手法を開発する上での自由度が高く,精度と安定性の制御が行いやすい.この特長を利用して実用性の高いMHD用の計算手法を新たに開発することを目指す.
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研究実績の概要 |
磁気流体力学はプラズマ流れと磁場の相互作用を扱う学問であり,天体物理学,航空宇宙工学,核融合研究といった幅広い研究分野で利用されている.本研究では,そのような研究分野に向けて,磁気流体シミュレーションの性能を向上させることを目指している. シミュレーション性能は具体的には精度,安定性,計算効率などが挙げられる.精度が低いと興味のある物理現象がぼやけてしまい,安定性が低いと非物理的な波が発生し,最悪の場合は計算破綻を引き起こす.これらは一般にトレードオフの関係にあり,精度を向上させるとシミュレーションの安定性は低下してしまう.したがって,シミュレーション手法を新たに開発する際には,適切な精度と安定性のバランスを取り,かつ効率の良い計算式を設計する必要がある. 2023年度は空気力学分野で開発された精度を向上させる手法“hybrid MUSCL-THINC”や“Post Limiter”を磁気流体シミュレーションに拡張することに取り組んだ.これらは広く利用されている計算手法を少し改変するだけで実装することができ,衝撃波などの不連続面を効率良く高精度にすることができる.しかし,空気力学用の手法を単に磁気流体シミュレーションに適用しても安定性が低下してしまう.この原因は,流体と磁場が相互作用する磁気流体力学では,流体のみの挙動を扱う空気力学よりも複雑な波や現象が生じるためである.そこで本研究では不連続面の圧縮性に応じて高精度化効果を弱める修正を行うことで磁気流体シミュレーションに拡張した.これにより,不安定になりやすい磁気流体力学の衝撃波においても安定的に,そしてそれ以外の不連続面は鋭く解像できるようになった. 2024年度は引き続きこれらの手法を改良していくとともに,磁気流体特有の波であるslow waveを精度良く計算することのできる新たな計算手法の開発に取り組む予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に基づいた計算手法の開発にはやや遅れがあるが,計画に含まれていない部分では十分な成果が得られた.計画に含まれていない分の成果も,本研究の目的である安定かつ高精度な磁気流体シミュレーション手法の実現に大きく寄与する.総合的には,計画通りではないものの,研究目的達成に向けて十分な進捗があると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の“hybrid MUSCL-THINC”や“Post Limiter”に関する成果を公開できるよう,査読付き論文誌への投稿作業を進める.また,当初の研究計画も遂行し,新たにslow waveを精度良く計算手法を提案できるように進めていく.こちらも成果が出たら論文化を進め,外部研究者と議論できるように進めていく.
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