研究課題/領域番号 |
23KJ0994
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
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研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
前田 玉青 総合研究大学院大学, 統合進化科学研究センター, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ドローン / 重層社会 / 集団行動 / ウマ |
研究開始時の研究の概要 |
ウマの重層社会集団における集団行動や機能について明らかにする。重層社会とは、ヒトの社会のように、安定したユニットと呼ばれる小規模の群れが、複数集まってさらにおおきな集団となる社会である。このような社会は、最も複雑な社会の一つといわれ、ヒトの複雑な文化の進化的背景となっている。しかし、いままでの研究では、定量的な観察が不足しており、その進化的背景や維持機構は不明点が多い。本研究では、ドローンを使い、ウマの行動を定量的に記録することで、どのような条件でユニット同士の集結性が高まるのか、複雑な集団の中で、ウマがどのように自らの行動を決定しているのかについて調べる。
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研究実績の概要 |
本研究の対象とする重層社会は複数の基本単位の群れ(=ユニット)が集まってさらに大きな集団をつくる社会のことを言い、動物の作る社会の中でも複雑なものと言われている。申請者はいままでポルトガル・アルガ山の野生化ウマを対象として調査を行ってきたが、重層社会は個体群や種によって異なる形態になることが知られている。そこで、2023年度より、アルガ山の個体群との違いを調べるため、都井岬の野生化ウマを対象として調査を開始した。90頭を超えるウマの個体を識別し、ウマたちがどの個体と一緒に過ごしているかを記録し、さらに複数の群れが集まる場合はその距離関係を記録して、群れ間関係の社会ネットワークを作成中である。また、その動きの特性を調べるため、ドローンを使い、ウマの複数群をビデオ撮影して個体のトラッキングを行なっている。SfM(Structure from Motion)技術と組み合わせることで、ドローンの動きを考慮し、さらに、個体のトラッキングには人工知能を用いることで、長時間・長距離の観測が可能となった。 ポルトガルの個体群については、血縁度解析の結果についてまとめ、論文を投稿中である。重層社会では血縁度が高い個体を含むユニット同士が近しい関係になることが一般的であるが、ウマはそれに当てはまらないことを示す結果となった。これは、重層社会が非血縁者同士の社会的関係のみによって成立する珍しい例と言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たな個体群での現地の方との関係形成や調査準備等はスムーズに行うことができた。また、トラッキングの手法開発についても概ね予定通り進んでいる。ただし、トラッキングの修正作業については予想よりも時間がかかっているため、実際に解析を行うのはやや遅れる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
今後はトラッキングの修正について進める予定である。また、ウマの動きのリーダーフォロワーの関係性を情報理論を用いて明らかにする。都井岬のウマについても、ポルトガルと同様に血縁度解析や空間情報の解析について進め、比較を行う予定である。
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