研究課題/領域番号 |
23KJ1012
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
西森 早紀子 総合研究大学院大学, 高エネルギー加速器科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2025年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2024年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2023年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | ニュートリノ / J-PARC / T2K実験 / NA61実験 / 中性K中間子 |
研究開始時の研究の概要 |
T2K実験でニュートリノ振動を精密に測定することで、物質優性宇宙の謎を解明する鍵となるレプトンにおけるCP対称性の破れの検証を行う。現在2σ以上の信頼度でCP対称性の破れを示唆しているが、今後統計数を確保することで統計誤差が改善される。本研究では、ニュートリノビーム生成過程のニュートリノフラックス不定性の最も大きな要因であるハドロン生成の精密測定を、スイスにあるCERN NA61実験により行い、ニュートリノ振動が最大となるエネルギー領域でのニュートリノフラックス不定性を改善させる。これによりニュートリノ振動解析の系統誤差を削減し、レプトンにおけるCP対称性の破れの発見に繋げる。
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研究実績の概要 |
加速器ニュートリノを用いた長基線ニュートリノ振動実験を行うT2K実験では、ニュートリノと反ニュートリノのビームを用いて、レプトンにおけるCP対称性の破れの検証を行なっている。現在95%以上の精度でCP対称性の破れが示唆されているが、更なる精度向上のためにはニュートリノフラックス推定精度を向上させることが重要である。ニュートリノフラックスの不定性の主要な要素はターゲットから出てくるハドロン生成推定によるものであり、CERN NA61/SHINE実験での測定値を反映させることでハドロン生成の推定精度を高めてきた。2022年にT2K実験で使用するターゲットと同様の形状のレプリカターゲットを用いたデータ取得を新たに行い、このデータを用いた解析を現在進めている。 当該年度は2022年取得データの解析に必要となる、検出器の校正やソフトウェアの使用方法の習得などを共同研究者のいる海外の研究機関に行くなどして学んだ。また、2022年取得データを用いて、ニュートリノ振動解析においてバックグラウンドとなる電子ニュートリノを生成する中性K中間子(K0_S)の解析を進めている。特にレプリカターゲットの解析の分類最適化の研究を中心に行なった。 今後も引き続きK0_Sの解析を進めていき、得られた結果をT2K実験のビームシミュレーションに反映させることで、ニュートリノフラックスの不定性の削減に取り組み、ニュートリノ振動解析の精度向上に繋げる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では当該年度で荷電K中間子の解析を行い、次年度でK0_Sの解析を行う予定であったが、実験グループ内での話し合いにより、本研究課題ではK0_Sの解析に焦点を当てて取り組むことになった。また、データ解析をする上で必要な検出器の校正をグループ全体で取り組んでおり、当初の予定より時間を要している。検出器の校正が終わった後、K0_Sの解析を本格的に進める予定である。以上の理由により現在はやや遅れているが、2024年度までの予定を踏まえると研究課題全体に影響はない遅れである。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は前年度から行なっている検出器の校正や、レプリカターゲットの解析の分類最適化の研究を終わらせる。その後、大統計のモンテカルロシミュレーションや2022年取得の大統計データを用いたK0_Sの解析を進める。K0_Sはニュートリノ振動解析においてバックグラウンドとなる電子ニュートリノを生成する主なハドロンである。現在電子ニュートリノのフラックス不定性は約10%であるが、これはT2Kのニュートリノビームの主要なニュートリノであるミューニュートリノのフラックス不定性と比較すると2倍以上大きい。K0_Sの解析結果をT2Kビームシミュレーションに導入することで電子ニュートリノのフラックス不定性が削減されることが期待される。
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